麻酔科勤務医のお勉強日記

これまで当ブログで紹介した記事から、肥満パラドックスに関連した文献をまとめて紹介します。 術後にRI/ARDSを発症した患者の死亡率：肥満パラドックス【SG Memtsoudis 2012】 手術後に急性肺障害（RI/ARDS）を発症した患者群を対象に、肥満が死亡率に及ぼす影響を検討している。従来はリスク因子と考えられていた肥満…

Ａ：肥満パラドックスとは、一般的には肥満がさまざまな健康リスクを高めると考えられている一方で、特定の病態や疾患においては、逆説的に肥満の（特に軽度から中等度の）状態が予後や生存率の改善と関連している現象を指します。つまり、通常は有害とされる肥満が、ある状況下では保護的な効果を示すように見えるという点が「パラドックス」と呼ばれる所以です。…

・術後の有害事象に対する BMI の影響については、相反する結果が報告されている。本研究の目的は、非心臓・非産科手術を受けた成人における BMI と術後肺合併症との関連を調査することである。 ・この大規模後ろ向き研究は、2019 年から 2023 年の間に大学付属 3 次医療病院で手術を受けた成人 125,082 人を対象とした。…