重症患者の輸液バランスと疾患重症度の相互作用が患者転帰に与える影響

・即時の積極的な輸液による体液回復とともに、初期安定化後の保存的輸液管理アプローチのもたらす利益については文献的エビデンスがある。本後向き研究では、一般的な重症患者で集中治療室(ICU)在室中の輸液バランスと転帰の関係を評価した。さらに、重症度の異なる患者間で輸液負荷の効果を見ることも目的とした。

・ICU に 3 日以上在室した合計 639 人の患者を評価した。ICU 在室中の輸液バランスを記録した。ロジスティック回帰分析を行って、病院死亡率に関連する有意な要因を同定した。

・APCHE-Ⅳ予測死亡率、ICU 第 2 病日と第 3 病日の輸液バランス、、ICU 在室中の全輸液バランスが、院内死亡と正の相関があった。対照的に、ICU 第 1 病日の輸液バランスが有意にプラスの場合は、院内死亡率と負の相関があった。標準化死亡率(APACHE-Ⅳ)と第 2+第 3 病日の輸液量の間の正相関は、重症度に伴って増加した。

・早期の適切な輸液による体液回復とともに後期の保存的な輸液管理が、良好な患者転帰を提供する可能性がある。輸液管理戦略の患者転帰に与える効果は、根底にある疾患重症度に依存するかもしれない。

[!]:第 2、第 3 病日にも積極的な輸液負荷が必要だということは、疾患重症度が高いことを示しているのだろう。

【 出 典 】
Interaction between fluid balance and disease severity on patient outcome in the critically ill
Journal of Critical Care published online 22 April 2011

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