イソフルラン、セボフルラン、デスフルランのヒトでの年齢を考慮した等 MAC チャート

Age‐related iso‐MAC charts for isoflurane, sevoflurane and desflurane in man
Br J Anaesth. 2003 Aug;91(2):170-4.

・本研究の動機づけとなったのは、臨床現場で患者のために全年齢層を考慮した MAC を推定することが現在困難であることであった。

イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン用の年齢を考慮した等 MAC チャートを臨床的に有用な MAC 範囲(0.6~1.6、年齢 5~95 歳で開発し、診療中の麻酔科医が使用しやすいような形式にした。チャートは、MAC に関して利用できるデータの Mapleson のメタ分析(1996)に基づいており、全 MAC に対する亜酸素化窒素の貢献度も考慮して使用できる。

・チャートは麻酔薬の必要量に与える年齢の影響を示しており、たとえば、イソフルランと 67% 亜酸素化窒素+酸素を使用して全 MAC=1.2 にするには、95 歳の患者ではわずか 0.25% の呼気終末イソフルラン濃度が必要なのに対し、5 歳の患者では 1% 必要であることを示している。同僚は、チャートは有用で、臨床的に使いやすいと認めた。

・等 MAC チャートは、呼気終末薬剤濃度を選択するのに、どのように年齢が使用されるかを明確に示している。吸入亜酸素化窒素濃度を変える際にも、全 MAC を一定に維持することができ、それにより、特に年齢が超高齢だったり新生児に近い年齢層での不慮の覚醒の危険性を減らせる。
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例えば、フェンタニルを 1ng/ml 程度で維持しつつ、セボフルランを 0.8MAC で投与したい場合には、80 歳では 1.1% でよいが、30 歳では、1.5% 必要なことがわかる。67% 笑気を併用したなら、80 歳ではセボは不要で、30 歳なら 0.4% 必要だ、と見て取れる。0 歳と 100 歳ではなんと MACは 2:1 程も異なる。このように年齢を考慮したセボフルラン気化器の微妙なダイアル調節も早期覚醒の秘訣だ。

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  • Q:年齢補正 MAC とは?

    Excerpt: A:50% のヒトが皮膚切開時に体動を示さない肺胞内における吸入麻酔薬濃度=最小肺胞濃度(minimum alveolar concentration:MAC)は、年齢ととも低下することはずっと以前か.. Weblog: 麻酔科勤務医のお勉強日記 racked: 2018-05-05 12:45