ICUで鎮痛、鎮静、せん妄をプロトコル管理すると鎮痛と亜症候性せん妄の頻度を減少させる

Protocolized Intensive Care Unit Management of Analgesia, Sedation, and Delirium Improves Analgesia and Subsyndromal Delirium Rates
Anesthesia & Analgesia vol. 111 no. 2 p451-463

・鎮静剤と鎮痛剤は、集中治療室(ICU)で意識を変容する用量では、せん妄の頻度と死亡率を増加させる。疼痛、興奮、せん妄は、ICU患者でモニターできる。これら好ましくない症状を軽減するプロトコル実施前(PRE)と実施後(POST)にこれらの症状を記録した。前後で鎮痛と鎮静レベル、昏睡の発生率、せん妄、収容期間(LOS)、退室先、死亡率を比較した。医原性昏睡とせん妄は関連するようなので、医原性昏睡を減少させるとせん妄も少なくなると仮定した。

・全患者は、ICUに連続的に入室した;プロトコル実施前(PRE;2003年8月~2004年2月、610人の患者)とプロトコル実施後(POST:2005年4月~2005年11月、604人の患者)。2004年2月~2005年4月に、個々の患者に応じた薬物を使用しない戦略と、鎮静、鎮痛、せん妄のスコアに基づいて鎮痛薬、鎮静剤、抗精神病薬を漸増することを試験的に行ない、教えた。以下の転帰を記録した:昏睡、せん妄、LOS、死亡率、退室先。

・POST群は良好な鎮痛の恩恵を受け、オピオイド投与量が少く(90.72±207.45 vs 22.93±40.36 モルヒネ当量/日、P=0.0001)、同程度の鎮静にもかかわらず、人工呼吸期間が短かった。投薬に起因する昏睡の発生率、(18.1% vs 7.2%、P<0.0001)、ICU滞在期間、入院期間、依存症は、POST群の方が少なかった。亜症候性せん妄は、有意に減少したがせん妄は同様であった。PRE群の30日死亡危険率29.4% に対し、POST群で22.9%であった(ログランク検定、P=0.009)。

・薬物を使用しない対処と患者ごとの鎮静、鎮痛、せん妄療法の漸増を系統的管理プロトコルに組み込む教育的なイニシアティブにより、良好な転帰が得られた。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック