バソプレシン:麻酔診療における現在の役割

Vasopressin: Its current role in anesthetic practice
Indian J Crit Care Med 2011;15:71-7

バソプレシン=抗利尿ホルモンは強力な内因性ホルモンであり、血漿浸透圧と容量を調節する役割を果たす。また高濃度では中程度の血管収縮を誘発して血圧を上昇させる。脳では神経伝達物質として働き、概日リズム、体温調節、副腎皮質刺激ホルモン分泌を制御している。バソプレシンの治療面での使用は、中枢性尿崩症、異常出血、食道静脈瘤からの出血、心静止による心停止、セプティック・ショックの管理などの集中治療でますます重要となってきている。10年の継続的研究の後、バソプレシンは心停止と重症ショック状態の治療上、麻酔科医の治療装備の昇圧薬の潜在的構成要素に成長した。

・心停止、セプティックおよび他のショック状態、食道静脈瘤出血の治療上、有効な治療薬となる強力な昇圧薬である。

・研究では、心肺蘇生中に心静止性心停止患者の生存率を向上させる可能性を示している。

・バソプレシン欠乏はセプシス、血液量減少、心原性ショック、心停止に伴う難治性ショック状態に関与する可能性がある。

・低用量のバソプレシンはカテコラミン抵抗性の状態で、腎血流や尿量を温存しながら血管運動緊張度を回復させることができる。

・また出血や食道静脈瘤出血に関連した死亡率を減少させるのに役立つかもしれない。

・テルリプレシンは、セプティックな患者で持続的血圧上昇をもたらす有効なバソプレシン類似体である。

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