自発呼吸下なのに前縦隔腫瘤による気道虚脱をきたした成人症例

Airway Collapse with an Anterior Mediastinal Mass Despite Spontaneous Ventilation in an Adult
Anesthesia & Analgesia August 2011 vol. 113 no. 2 239-242

前縦隔腫瘤のある患者は、周術期合併症の危険性が高い。本症例は、無症状の成人が、吸入麻酔下に気管チューブで自発呼吸しているにもかかわらず、気道虚脱と換気不能を呈する場合があることを示した。突然の深刻な心肺虚脱があれば、救命的な換気を補助するために硬性気管支鏡がすぐに利用されるべきである。小児患者の場合には側臥位や腹臥位に体位変換することで気道開存性を回復させることができるという報告があるが、成人患者では胸壁がより骨化し発達しているために、この操作の有効性は限定されているかもしれない。最後に、高リスク患者が全身麻酔を必要とするならば、麻酔導入前に大腿に人工心肺用カニューレを挿入し、いつでも人工心肺が開始可能なよう熟慮しておくべきである。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック