肺切除術中の肺炎症反応に及ぼす片肺換気の効果

The effect of one-lung ventilation upon pulmonary inflammatory responses during lung resection

Journal of Anesthesia published online 28, Feb 2011

・片肺換気(OLV)は、胸部手術の際に一般的に用いられる。気管支肺胞洗浄液分析を使った臨床研究から、OLVが換気された下側肺に炎症反応が誘発されることを証明した。しかし、虚脱した上側肺と比較して下側肺でそのような炎症性反応を調査した臨床研究はほとんどない。そこで、本研究では、気管支鏡による微細サンプリング法を使用して、各肺から気管支肺胞分泌液(ELF)を得て、胸部手術中の下側肺と上側肺で炎症反応を比較した。

・20人の成人患者を対象とした。全患者は、OLVを使った胸部手術を受けた。プロポフォールとレミフェンタニルで、完全静脈麻酔を行った。ダブル・ルーメン気管チューブを使ってOLVを施行した。気管支鏡による微細サンプリング法を使用して各肺からELFを得た。OLVの前後に、ELFの炎症性メディエータ、TNFα、インターロイキン(IL)-1β;、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p70をELISAを使用して測定した。

・ELFのIL-1β、IL-6、IL-8のELF濃度は、それらの前値と比較して、手術終了時点で下側肺と上側肺で有意に上昇した(p<0.05)。IL-6のELF濃度は、手術終了時点で上側肺でより下側肺で有意に高かった(p=0.019)。

・片肺換気は、胸部手術中に下側肺と上側肺で気管支上皮の炎症反応を誘発した。加えて、これらの炎症反応は、上側肺よりも下側肺で増加した。

[!]:下側の肺は物理的に心臓縦隔の重量により圧迫されているだけでなく、さらに通常よりも多くのガスで換気されるわけで、かなりの圧負荷がかかるのは確かだろう。上側の肺にも手術による物理的圧迫に加えて、長時間になれば、血流障害による虚血も加味されるので、両側の肺にかなりの負担を強いているということになる。

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