心臓手術におけるレミフェンタニル:無作為対照試験のメタ分析

Remifentanil in Cardiac Surgery: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia published online 08 August 2011

・レミフェンタニルで心臓手術を受ける患者で臨床的に関連した転帰において利点を有するか確認するために、無作為対照試験のレビューを行った。

・16件の無作為試験からの合計患者1473人を対象としたメタ分析である。心臓麻酔でレミフェンタニルをフェンタニルまたはスフェンタニルと比較した無作為試験を、PubMed、BioMed Central、学会議事録を検索した(2010年5月に更新した)。4人の別々のレビュー担当者がデータ抽出を行い、合意により相違を解決した。

・全体的な分析では、レミフェンタニルの使用が術後人工呼吸期間(WMD =-139分[-244~-32]、p for effect = 0.01, p for heterogeneity < 0.001, I2 = 89%)、在院期間(WMD =-1.08日[-1.60~-0.57]、p for effect < 0.0001, p for heterogeneity = 0.004, I2 = 71%)、心臓トロポニン放出(WMD = -2.08 ng/mL [-3.93~-0.24], p for effect = 0.03, p for heterogeneity < 0.02, I2 = 74%)の有意な短縮(減少)と関係していることを示した。死亡率には差はみられなかった(3/344[0.87%]レミフェンタニル群 vs [1.06%]対照群、OR 0.76[0.17-3.38]、p for effect = 0.72, p for heterogeneity = 0.35, I2 = 5%)。

・レミフェンタニルは、心臓手術を受ける患者で、心臓トロポニン放出を減少させ、人工呼吸期間と在院期間を短縮する。

[!]:weighted mean difference (WMD:重み付け平均差):アウトカムが二分的(死亡や心筋梗塞など)ではなく、連続的(症状スコアや身長など)な場合に用いられるエフェクト・サイズの尺度の一つ。研究対象の群間におけるアウトカムの平均差は、異なるサンプルサイズと精度を計算に入れて重みを付けされる。WMDは絶対値であるので、元のアウトカムの尺度の単位をもつことが通常である。

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