乳児新生児でのボリューム負荷に対する反応性を予測するための経食道ドップラーの術中使用

Intraoperative use of transoesophageal Doppler to predict response to volume expansion in infants and neonates
Br. J. Anaesth. First published online: October 20, 2011

・揮発性麻酔中の新生児や乳児では、ボリューム増加(VE)が不適切だと、輸液過負荷となるかもしれない。経食道ドップラー(TED)による非侵襲的な心拍出量モニターは、ボリューム状態についての総合評価を提供できる。本研究では、術中のTEDから誘導したパラメータがボリューム反応を予測できるかどうか評価した。

・TED測定値を知らされない担当麻酔科医が、臨床的判断と標準的モニター値に基づきVEを行おうと決定した場合、対象として研究に組み入れられた。VEの前後で、標準およびTEDから誘導したデータを記録した。VE後に、一回拍出量係数(iSV)が15%以上増加するかどうかで、患者はぞれぞれ反応群と非反応群に分類された。担当麻酔科医によるVEに対する反応の評価は、VE終了時に記録された。

・妊娠42(4)週の患者50人が対象となり、そのうち、26人(52%)は応答群であった。ベースラインiSVは、VE反応と関連した唯一のパラメータであった。ベースラインiSVは、VEによるiSVの変化と、良く相関しており(ρ=-0.64)、ROC曲線下面積0.90(0.80、0.99)と関係していた。25ml/m2のカットオフ値を使用すると、ベースラインiSVはボリューム反応性を感度92%、特異度83%で予測することができた。 担当麻酔科医のVE効果に対する評価は、TEDで測定した iSV変化と適度に一致するだけであった。

・心筋機能障害のない新生児と乳児で、VE反応を予測し追跡するのに吸入麻酔中のTEDから誘導したiSV測定は有用である。

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