入院時にST上昇型心筋梗塞のある患者で動脈血中乳酸値の臨床的関連性

Clinical correlates of arterial lactate levels in patients with ST-segment elevation myocardial infarction at admission: a descriptive study
Critical Care 2010, 14:R164 Published:2010-09-09

・血中乳酸値は循環障害の指標として利用でき、各種のショック状態で、死亡率に関係している。ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者での全身性乳酸値の臨床的関係については現在のところほとんどわかっていない。

・カテーテル室に到着した時点でのSTEMI患者の動脈血乳酸値と関連要因の関係を評価するために、大腿シース挿入直後に、現場迅速法(POCT)で、動脈血中乳酸濃度を測定した。研究対象患者(n=1176)は乳酸値にしたがって、乳酸値≦1.1(n=410)、1.2-1.7(n=398)、≧1.8mmol/l(n=368)の群に分けた。3群の基本的な特徴と結果測定値を比較した。

・独立して高乳酸値と関連性の高い要因は、低血圧、心拍数、TIMI分類0-1、糖尿病、非喫煙であった。3群の30日後の死亡率は、2.0%、1.5%、6.5%であった。後者の群では、blush gradeが低く、酵素値から見た梗塞サイズが大きかった。乳酸値が高い患者ではIABP使用頻度が高かった(4.2%、7.6%、14.7%)。

・STEMI患者では、血行動態の障害、TIMI分類低グレード、非喫煙は、動脈血中乳酸濃度高値と関連があった。高乳酸値は、30日後の高い死亡率とPCIへの全体的反応不良と独立して関係があった。特に、急性期死亡率は、動脈血乳酸値≧1.8mmol/l に関係付けられた。STEMI患者の入院時の現場迅速法による乳酸値の測定は、急性期リスク階層化を改善する可能性がある。

[!]:CAG時の狭窄病変が認められた場合、AHAの基準に従い狭窄度を記載する。90%以上の高度狭窄が見られた場合はその末梢の潅流状態、側副血行路の発達度を評価する必要があり、TIMI分類を用いることが多い。再灌流療法を行った後はmyocardial blush gradeを用いて評価する。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック