短期の禁煙と術後合併症:系統的レビューとメタ分析
Short-term preoperative smoking cessation and postoperative complications: a systematic review and meta-analysis
Canadian Journal of Anesthesia published online 21 December 2011
・短期間(<4週間)の禁煙が術後合併症に及ぼす危険性と有益性を決定し、成人手術患者で、そういった合併症を低減するのに必要な術前の最短禁煙期間を導き出すために文献をレビューした。
・MEDLINE、EMBASE、コクラン、その他の関連データベースで、手術の6カ月以内に禁煙を行った患者の術後合併症(すなわち、呼吸器系、心血管系、創傷治癒の)と死亡率を報告したコホート研究と無作為対照試験を検索した。ランダム効果モデルを使用して、メタ分析を行って、様々な期間の禁煙を行った元喫煙者と現行喫煙者で合併症の相対的リスクを比較した。
・25研究を対象とした。現行喫煙者に比較して、術前2週間以下、あるいは2~4週間だけ禁煙した患者群では呼吸器系合併症のリスクは同様であった(それぞれ、リスク比[RR] 1.20;95%信頼区間[CI]0.96 ~ 1.50 vs RR 1.14;CI 0.90~1.45)。術前4週間以上、そして8週間以上禁煙した喫煙者は、現行喫煙者よりも呼吸器系合併症のリスクが低かった(それぞれ、RR 0.77;95% CI 0.61~0.96 と RR 0.53; 95% CI 0.37~0.76)。創傷治癒の合併症リスクについては、術前3~4週間以上前に禁煙した喫煙者では、現行喫煙者よりも低かった(RR 0.69; 95% CI 0.56~0.84)。心血管系合併症を報告した研究はほとんどなく、死亡者もほとんどいなかった。
・少なくとも4週間は禁煙しないと呼吸器系合併症は減少しない。少なくとも3~4週間は禁煙しないと創傷治癒合併症は減少しない。短期(<4週間)の禁煙は、術後の呼吸器系合併症のリスクを増加も減少もさせないようだ。
[!]:現在は、短期間でも可及的に禁煙を勧めている。長期的に公衆衛生学的に考えればそれでよいのだが、エビデンスはないということだ。術前に禁煙を強要するのは、かえって精神的にストレスを与えることになっている可能性はある。
Canadian Journal of Anesthesia published online 21 December 2011
・短期間(<4週間)の禁煙が術後合併症に及ぼす危険性と有益性を決定し、成人手術患者で、そういった合併症を低減するのに必要な術前の最短禁煙期間を導き出すために文献をレビューした。
・MEDLINE、EMBASE、コクラン、その他の関連データベースで、手術の6カ月以内に禁煙を行った患者の術後合併症(すなわち、呼吸器系、心血管系、創傷治癒の)と死亡率を報告したコホート研究と無作為対照試験を検索した。ランダム効果モデルを使用して、メタ分析を行って、様々な期間の禁煙を行った元喫煙者と現行喫煙者で合併症の相対的リスクを比較した。
・25研究を対象とした。現行喫煙者に比較して、術前2週間以下、あるいは2~4週間だけ禁煙した患者群では呼吸器系合併症のリスクは同様であった(それぞれ、リスク比[RR] 1.20;95%信頼区間[CI]0.96 ~ 1.50 vs RR 1.14;CI 0.90~1.45)。術前4週間以上、そして8週間以上禁煙した喫煙者は、現行喫煙者よりも呼吸器系合併症のリスクが低かった(それぞれ、RR 0.77;95% CI 0.61~0.96 と RR 0.53; 95% CI 0.37~0.76)。創傷治癒の合併症リスクについては、術前3~4週間以上前に禁煙した喫煙者では、現行喫煙者よりも低かった(RR 0.69; 95% CI 0.56~0.84)。心血管系合併症を報告した研究はほとんどなく、死亡者もほとんどいなかった。
・少なくとも4週間は禁煙しないと呼吸器系合併症は減少しない。少なくとも3~4週間は禁煙しないと創傷治癒合併症は減少しない。短期(<4週間)の禁煙は、術後の呼吸器系合併症のリスクを増加も減少もさせないようだ。
[!]:現在は、短期間でも可及的に禁煙を勧めている。長期的に公衆衛生学的に考えればそれでよいのだが、エビデンスはないということだ。術前に禁煙を強要するのは、かえって精神的にストレスを与えることになっている可能性はある。
この記事へのコメント