小手術を受ける患者で単回クモ膜下麻酔の局所麻酔薬に添加したオピオイド:無作為試験のメタ分析

Opioids added to local anesthetics for single-shot intrathecal anesthesia in patients undergoing minor surgery: A meta-analysis of randomized trials
PAIN published online 09 January 2012.

・オピオイドは、くも膜下麻酔の局所麻酔剤に添加物として広く使用されている。利益と危険性は依然として不明である。

・私たちは、体系的に 2011年 2月までのデータベースと書籍から、手術(帝王切開を除く)を受け、全身麻酔なしに単回くも膜下麻酔を受ける成人で、なんらかの局所麻酔薬になんらかのオピオイドを使用した場合と、局所麻酔薬単味とを無作為比較した全文報告を検索した。

・1983年から2010年に報告された 65 試験(3338人の患者、1932人はオピオイドを投与れた)を含めた。ブピバカインにモルヒネ(0.05-2mg)とフェンタニル(10-50μg)を添加した試験が最も多かった。術後鎮痛の持続時間は、モルヒネ(加重平均差 503 分; 95% 信頼区間 [CI] 315- 641)とフェンタニル(加重平均差 114 分; 95% CI 60-168)で延長した。モルヒネは術後にオピオイドによる鎮痛を必要とする患者数を減らし、術後12時間まで疼痛強度を減少させた。モルヒネは嘔気(有害必要数[NNH] 9.9)、嘔吐(NNH 10)、尿閉(NNH 6.5)、掻痒感(NNH 4.4)のリスクを増大させた。フェンタニルは掻痒感(NNH 3.3)のリスクを増大させた。モルヒネ 0.05~0.5mgを使用すると、呼吸抑制のNNHは、選んだ呼吸抑制の定義に従って26~30で変動した。フェンタニル 10~40μg の使用では、呼吸抑制のリスクは有意には増加しなかった。これらの効果のいずれに対しても、有益であれ有害であれ、用量反応性のエビデンスはなかった。

・結果として、くも膜下モルヒネとフェンタニルの最小有効量を調査するべきである。くも膜下ブプレノルフィン、ジアセチルモルヒネ、ヒドロモルフォン、メペリジン、メタドン、ペンタゾシン、スフェンタニル、トラマドールに関しては、有意義な結論を得るのに十分なデータがなかった。

[!]:ある薬がどれくらい有効、あるいは有害であるかを表す指標にNNT(Number Needed to Treat)、NNH (Number Needed to Harm)がある。何人に投与してはじめて一人の有効症例、有害症例が出るのかということ。1であれば非常に効果が高い=最高に有効(有害)。

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