固体脂質ナノ粒子をリドカインの薬物キャリアとして使用して硬膜外麻酔効果を延長

Prolongation of Epidural Analgesia Using Solid Lipid Nanoparticles as Drug Carrier for Lidocaine
Regional Anesthesia & Pain Medicine: March/April 2012 - Volume 37 - Issue 2 - p 159-165

・固体脂質ナノ粒子(SLN)は、薬剤の放出を持続的に制御する、薬物のキャリアとして非常に魅力的な戦略である。本研究では、リドカインの作用を延長させて硬膜外麻酔と鎮痛に応用できないか、SLN の実現可能性を調査した。

・モノステアリン(MS)、パルミチン酸ステアリン酸エステル (GP)、ステアリン酸を含む、いろいろな脂質を使ってリドカインを充填した SLN を準備した。形態と結晶化度は、透過電子顕微鏡と粉末X線回折で特徴付けられた。In vitro の放出実験は、セルロース透析膜を使用して、pH 7.4 のリン酸緩衝液中で実施された。硬膜外麻酔の生体内での有効性は、ラットで評価された。

・リドカインは、MS、GP、SA で用意された SLN に、それぞれうまく組み込まれた。リドカインを充填した SLN の粒子サイズは、143~388nm で、多分散度指数(polydispersity index)は、0.29~0.45 であった。粉末X線回折では、リドカインは主に非晶質状態で SLN 内に分散されていることが示された。48 時間以内の in vitro の放出実験で、MS SLN ではSLNからのリドカインの放出は80%、GP SLN では 69%、SA SLN では 89% であった。硬膜外投与の効果は水溶性塩酸リドカインと比較した。リドカイン SLN 懸濁液の単回注入は、MS SLN で 8 時間、GP SLN で 12 時間、SA SLN で 4 時間以上の硬膜外ブロック効果を生んだ。同用量のリドカイン水溶液では、作用は 2 時間未満しか続かなかった。

・固体脂質ナノ粒子は、リドカインの作用を延長させるための有望な薬物キャリアとして利用できる。

[!]:エマルジョン的なキシロカインなんだろうか。1 回投与で 12 時間も持続すれば、ディスポーザブル・ポンプで持続投与しなくてよいから、準備する手間もなくなり、資源の無駄遣いも減っていいなあ。早く製品化してほしい。あと、以前から欲しいのは、リドカイン徐放性の導尿用のバルーンカテーテル!誰か作ってくれ~!!

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