入院時の凝固障害とショックは戦闘支援病院での外傷小児の死亡率と関係している

Coagulopathy and shock on admission is associated with mortality for children with traumatic injuries at combat support hospitals
Pediatric Critical Care Medicine: May 2012 - Volume 13 - Issue 3 - p 273-277

・成人では、初期の外傷性凝固障害とショックは、ともによく見られるもので、死亡率と独立して関係している。外傷小児患者では、初期の凝固障害とショックの発生頻度についても、また転帰に及ぼす影響についてもデータがほとんどない。本研究の目的は、入院時の凝固障害とショックが、外傷小児の死亡率と独立して関係しているかどうか決定することであった。

・2002 ~ 2009 年にイラクとアフガニスタンの米国戦闘支援病院で得られた Joint Theater Trauma Registry の後向きレビューを実施した。凝固障害は、国際標準比 INR≧ 1.5 、ショックは BE ≦ -6 と定義された。検査値は、入院時に測定された。主要転帰は、院内死亡率であった。単変量解析を全ての入院時変数について実施し、その後に独立関係を決定するために逆追跡多変量ロジスティック回帰を実施した。患者は、18 歳以下で、ISS、INR、BE、院内死亡率が分かる場合に対象とした。1998 例中、744(34%)は分析に必要な完全なデータセットを有していた。

・初期の凝固障害とショックは 27% と 38.3% に存在し、それぞれ、死亡率 22% と 16.8% と関係していた。多変量ロジスティック回帰後、初期の凝固障害は、死亡率のオッズ比 2.2 (95%信頼区間 1.1-4.5)、初期のショックは オッズ比 3.0 (95%信頼区間 1.2-7.5)であった。凝固障害とショックのある患者の死亡率のオッズ比は 3.8(95%信頼区間 2.0-7.4)であった。

・外傷戦闘支援病院で治療された外傷小児では、入院時の凝固障害とショックは、よく見られ、院内死亡の高い発生率と独立して関係している。もっと迅速で正確な凝固障害やショックの測定法、ならびに、こうした状態に対する早期目標指向型治療が、小児の転帰を改善できるのかどうか確定するには、更なる研究が必要である。

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