小用量ケタミン処置による小児でのプロポフォール注入時痛の予防

Prevention of propofol-induced pain in children: pretreatment with small doses of ketamine
Journal of Clinical Anesthesia Volume 24, Issue 4 , Pages 284-288, June 2012

ケタミン4.png・本研究の目的は、小児でプロポフォール注入時痛を防ぐ際にケタミンの効能を評価することであった。大学関連病院での、ASA 1・2 人の小児患者 192 人を対象とした前向き無作為二重盲式偽薬対照研究である。

・患者は、4 群に無作為割付けされた。S群(対照)は、生食を偽薬として投与され、K1 群、K3 群、K5 群は、それぞれ、0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg のケタミンを投与された。ケタミン投与の 15 秒後に、患者は睫毛反射消失まで 12 mL/分の速度で、プロポフォールを注入された。疼痛は、4 点スケールを用いて導入時に、盲式に評価された: 0 =痛みなし、1 =軽度の痛み、2 =中等度の痛み、3 =高度の痛み。副作用を記録した。プロポフォール用量とプロポフォール注入から意識喪失までの時間(導入所要時間)などの麻酔導入の特徴が記録された。

・S群(対照)患者 39人(84.8%)には、疼痛があった。ケタミンによる前処理は、K1、K3、K5 群で疼痛頻度を、それぞれ 56.5%、17.0%、14.9% と有意に減少させた。さらにまた、中等度~高度の疼痛頻度は K1群(21.8%)、K3群(6.4%)、K5 群(4.3%)で、S群(76.1%)と比較して有意に少なかった(それぞれ P=0.001)。さらに、K5 群の導入に必要であったプロポフォール用量は、S 群、K1 群、K3 群(P=0.05)よりも少なかった。 K5 群の 1 人の患者には、覚醒時興奮jがあった。

・ケタミン(0.3mg/kg)小用量による前処理は、高度の副作用なしでプロポフォール注入時痛の頻度と強度を低下させた。

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