気管チューブ・カフの圧を逃がすのに使用するシリンジを選ぶ際にはメーカーとサイズが問題

Brand and Size Matter When Choosing a Syringe to Relieve Pressure in a Tracheal Tube Cuff
Anesthesia & Analgesia vol. 99 no. 5 1445-1449

・亜酸素化窒素を使用中に、連結シリンジを気管チューブ・カフの圧開放弁として使用した場合、うまく機能するどうか研究した。

・机上実験を行って、いろいろなメーカーとサイズのシリンジの固着(stick)、および滑走(slip)特性を調査した。カフを 20 mL の空気で膨らませて、カフ圧を 100-120 mmHg とした。そしてシリンジのプランジャが、停止して定圧になるまで受動的に押し戻されるようにした(固着圧 "stick pressure")。数分後に 2 番目のシリンジを使って、再度プランジャが動き出す(滑走圧 "slip pressure")までシリンジ圧を強制的に増加させた。

・固着圧は、使用したシリンジのメーカーとサイズによって 18 ~ 82 mmHg にばらついた。滑走圧は、固着圧を 20 ~ 120 mmHg 上回った。カフ圧は亜酸化窒素暴露中に直線的に増加し、どのシリンジも自動的に圧が低下することはなかった。

・我々は、パイロット・バルーン接続部に取り付けたシリンジは、亜酸化窒素麻酔中に気管チューブのカフ圧の制御に使用できると結論する。しかし、この目的にはすべてのシリンジが適しているわけではない;大きなシリンジの方が小さいシリンジよりも好ましく、テルモ社製が BD や Monoject 制よりも適している。システムは自動的には機能せず、カフの過膨張を防ぐためには、間歇的にシリンジのプランジャを押して、静摩擦を超えるようにすることが必要である。

[!]:少し古いですが面白い論文です。先日の記事「知らなきゃ損!(Part 3) 最適カフ圧を設定するために」で紹介した文献抄録の日本語訳です。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック