緊急気管挿管に際しての筋弛緩薬の使用は、手技に関連した合併症の頻度減少と関係している
Neuromuscular blocking agent administration for emergent tracheal intubation is associated with decreased prevalence of procedure-related complications
Critical Care Medicine: June 2012 - Volume 40 - Issue 6 - p 1808-1813
・緊急時の挿管は、高率の合併症と関係している。筋弛緩剤は、通常、手術室と救急部門では挿管を容易にするのに用いられる。しかし、手術室と救急部門以外での緊急気道管理中の筋弛緩剤の使用には議論がある。本研究では、筋弛緩剤の使用が低酸素血症の発生頻度減少と手技に関連した合併症率減少と関係していると仮定した。
・2 つの三次医療センター(マサチューセッツ総合病院、ボストン、MA と カリフォルニア・ロサンゼルス、ロナルド・レーガン医療センター、ロサンゼルス、CA大学)で緊急挿管を受ける 566人の患者が、前向き観察研究に登録された。心肺蘇生中、挿管された 112 人の患者は除外されたので、分析対象は 454 人の患者であった。全ての挿管は、救急医学部門で訓練された指導医の下で監督された。 挿管条件、挿管中とその後 5 分間の酸素飽和度を測定した。食道挿管、挿管に伴う外傷、誤嚥、歯牙損傷、気管支挿管と定義した、手技に関連した合併症の頻度を評価した。
・筋弛緩薬の使用は、低酸素症の頻度が少なく(10.1% vs. 17.4%, p=0.022)、手技に関連した合併症の頻度も少ない(3.1% vs. 8.3%, p =0.012)ことと関連していた。この関係は、気道の状態分類、鎮静、施設を調整した多変量解析でも変わらなかった。筋弛緩薬の使用は、挿管条件(喉頭視野;p=0.014、挿管試技数;p=0.049)を有意に改善した。挿管試技数と喉頭視野で調整すると、筋弛緩薬の使用は、緊急挿管に関連した合併症の独立予測因子であり(p=0.037)、酸素化改善の傾向があった(p=0.07)。
・筋弛緩薬の使用は、高度のトレーニングと経験のある集中治療医が使用する場合には、手技に関連した合併症の減少と関係している。
[!]:手術室外での気管挿管の時、つまり通常、ヘッドバンドや、麻酔器、緊急気道確保セットのない場所で、気管挿管を試みるときは、(私は)原則として、筋弛緩薬を使用しない。目の前でさっきまでなんとか呼吸をしていた患者が自発呼吸を失ってしまうのは、非常に恐ろしい。手術室に準じた器材と、いざとなったら外科的気道確保もできる準備があれば、筋弛緩薬を使用してもいいかなと思っている。
Critical Care Medicine: June 2012 - Volume 40 - Issue 6 - p 1808-1813
・緊急時の挿管は、高率の合併症と関係している。筋弛緩剤は、通常、手術室と救急部門では挿管を容易にするのに用いられる。しかし、手術室と救急部門以外での緊急気道管理中の筋弛緩剤の使用には議論がある。本研究では、筋弛緩剤の使用が低酸素血症の発生頻度減少と手技に関連した合併症率減少と関係していると仮定した。
・2 つの三次医療センター(マサチューセッツ総合病院、ボストン、MA と カリフォルニア・ロサンゼルス、ロナルド・レーガン医療センター、ロサンゼルス、CA大学)で緊急挿管を受ける 566人の患者が、前向き観察研究に登録された。心肺蘇生中、挿管された 112 人の患者は除外されたので、分析対象は 454 人の患者であった。全ての挿管は、救急医学部門で訓練された指導医の下で監督された。 挿管条件、挿管中とその後 5 分間の酸素飽和度を測定した。食道挿管、挿管に伴う外傷、誤嚥、歯牙損傷、気管支挿管と定義した、手技に関連した合併症の頻度を評価した。
・筋弛緩薬の使用は、低酸素症の頻度が少なく(10.1% vs. 17.4%, p=0.022)、手技に関連した合併症の頻度も少ない(3.1% vs. 8.3%, p =0.012)ことと関連していた。この関係は、気道の状態分類、鎮静、施設を調整した多変量解析でも変わらなかった。筋弛緩薬の使用は、挿管条件(喉頭視野;p=0.014、挿管試技数;p=0.049)を有意に改善した。挿管試技数と喉頭視野で調整すると、筋弛緩薬の使用は、緊急挿管に関連した合併症の独立予測因子であり(p=0.037)、酸素化改善の傾向があった(p=0.07)。
・筋弛緩薬の使用は、高度のトレーニングと経験のある集中治療医が使用する場合には、手技に関連した合併症の減少と関係している。
[!]:手術室外での気管挿管の時、つまり通常、ヘッドバンドや、麻酔器、緊急気道確保セットのない場所で、気管挿管を試みるときは、(私は)原則として、筋弛緩薬を使用しない。目の前でさっきまでなんとか呼吸をしていた患者が自発呼吸を失ってしまうのは、非常に恐ろしい。手術室に準じた器材と、いざとなったら外科的気道確保もできる準備があれば、筋弛緩薬を使用してもいいかなと思っている。
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