SAH 後の神経原性肺水腫の際の肺血管外水分量と血液量の連続測定

Journal of Neurosurgical Anesthesiology: July 2012 - Volume 24 - Issue 3 - p 203-208
・脳動脈瘤くも膜下出血(SAH)後早期の、全身的な帰結としての神経原性肺水腫(NPE)は、しばしば術中術後の輸液管理を複雑化し、転帰不良の危険性を増す。これは、SAH 後 NPE の成因と経過に関する現在の理論に一致した生理的パターンをたどるベッドサイド経肺熱希釈装置の能力を示す最初のレポートである。
・発作が起きて 4 時間以内に入院となり、NPE を発症したと診断された 3 人の SAH 患者を研究した。心拍出量、全拡張末期容量(GEDV)、肺血管外水分量、肺血管性透過性指数(PVPI)が、診断直後に経肺熱希釈法により測定された。ストレスと体液調節に関連する生化学的マーカーも採取された。
・全症例で、初期測定時に、肺血管外水分量は異常に高く、血漿カテコラミンとB-タイプ・ナトリウム利尿ペプチドの上昇が検出された。各患者の体液分布は、以下の 2 つのいずれかによって特徴付けられた、(1) 心機能低下なしの PVPI 高値、GEDV 低値(透過性亢進型肺水腫); (2) PVPI 上昇のない一過性心機能障害を伴う低心拍出量と GEDV 高値(静水圧亢進型肺水腫)。2人の患者の容量状態は4日目までに正常化し、通常の輸液治療で良好に管理できたが、初期に心不全と肺炎による静水圧亢進型肺水腫に合併した透過性亢進型肺水腫と分類された患者の転帰は不良であった。
・我々の臨床経験から、本モニタリング・システムは、SAH に合併する肺水腫のさまざまな病因を鑑別する能力を有しており、輸液管理の判断を支援する可能性のあることが示唆される。
[!]:この装置を使えば、肺血管外水分量から肺水腫の診断と、PVPI から permeability edema と pressure edema の鑑別ができる。具体的には、TOKIBO の PiCCO モニターのことのようだ。
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