単回注入の大腿神経ブロックには、TKA での術後痛やモルヒネ消費量に及ぼす先行効果はない

Single-injection femoral nerve block lacks preemptive effect on postoperative pain and morphine consumption in total knee arthroplasty
Acta Anaesthesiologica Taiwanica Volume 50, Issue 2 , Pages 54-58, June 2012

・全膝関節形成術(TKA)の後の術後痛は激しい。そこで、大腿神経ブロック(FNB)が、TKAの脊椎麻酔の補助としてよく利用される。術前に実施する麻酔担当医もいれば、術後に実施するものもいる。我々が知る限り、FNB 実施のタイミングの相対的有益性を比較した研究はない。本研究では、片側 TKA を受ける患者で、術前 FNB の方が術後 FNB よりも鎮痛効果が良好かどうか調査した。

・本二重盲式無作為比較臨床試験では、片側 TKA を受ける 82 人の患者(ASA-Ⅰ~Ⅲ)を以下の 4 群に分けた:(1) 前処置群では、FNB は脊椎麻酔後、手術前に、0.375% ブピバカイン+1::200,000 エピネフリン 0.4mL/kg にて実施;(2) 後処置群では、手術直後に同量の同薬剤で、FNB を実施した。;(3) 前対照群では、FNB は術前に試験薬と同量の生食で実施した;(4) 後対照群では、FNB は術後に試験薬と同量の生食で実施された。術後 2、4、6、24、48、72時間に、累積的モルヒネ使用量、視覚アナログ・スケール(VAS)、最初のモルヒネ要求時間と副作用を記録した。また 1 日おきに 3 日間、膝の最大屈曲範囲を測定した。我々の主たる目的は 24 時間の累積的モルヒネ消費用を得ることであった。

・術後 24 時間以内では、真の FNB を受けた患者群と、対照群とでは、累積的モルヒネ消費量に有意差を認めた(24時間後の時点で、治療群= 45.6±31.7 と 33.5±20.6mg vs 対対照= 70.8±31.2 と 78.8±37.7mg 、p<0.001)。また、VAS(24時間後の時点で、p<0.001) と 最初のモルヒネ要求時間(p<0.005)に、治療群と対照群との間に有意差を認めた。しかし、これらの成績については、前処置群と後処置群との間には有意差がなかった。 24 時間を過ぎ、2 日目と 3 日目のモルヒネ使用量や最大屈曲範囲は 4 群間で有意差がなかった。

・全膝関節形成術用に FNB を受けた患者では、FNB を受けなかった患者群に比べて、術後第 1 日目のモルヒネ使用量が有意に少なく、 TKA 後疼痛の有意な軽減が得られた。しかし、経過を見ると、 FNB を術前に受けた患者群と術後に受けた患者群との間にこれらの成績に有意差はなった。

[!]:FNB は、脊椎麻酔が効いている間に実施しさえすれば、手術前であろうが手術後であろうが、結果は同じだと。

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