SRHAD 式リカバリ・スコア

 一般に麻酔終了時には、Aldrete スコアリングシステムなどを使用して、リカバリスコア点数≧8 で帰室許可を出しているであろう。10年以上前は、同様のスコアを使用していたのだが、ある時から、麻酔終了時にチェックすべき項目と、リカバリスコアを合体させて、一連の必要なチェックを行うと、必然的に簡単に点数計算ができるようにという意図で、当院独自のリカバリスコアを使用している。

 Aldrete スコア では、心拍数が35しかなくても、また120でも無関係に帰室許可が出る。呈舌も発語もできなくても帰室可能である。また、ひどく痛がっていようが、「おえっ、おえ~っ」とやっていようが、シバリングでガタガタ震えていようが点数には無関係である。その意味では、けっこういい加減なスコア・システムであるとも言えよう。

 当院のリカバリスコアが Aldrete スコアと明らかに異なるのは、数値で評価ができる「血圧」「心拍数」「酸素飽和度」といったバイタルサインとは別に、10個のチェック項目を設けた点である。当院のリカバリスコアは、基本的には、バイタルサインが許容範囲であることを確認した上で、さらに10個のチェック項目の合計点数をリカバリースコアとして、8点以上であれば帰室許可としている。

● バイタルサイン
1.血圧:術前の±20%以下
2.心拍数:≧50、≦100
3.酸素飽和度:空気吸入下≧92%、酸素吸入下≧95%

この範囲に収める努力をした上で、以下の評価を行う。

● チェック項目
1.呼名開眼
2.呈舌
3.上肢運動
4.下肢運動
5.咳反射
6.深呼吸
7.発語
8.疼痛
9.嘔気
10.悪寒

(1)~(7)が「可能」ならば1点を加え、(8)~(10)は「なし」であれば1点を加え、合計10点満点で評価し、8点以上を帰室可能としている。伝統的なリカバリスコアに疑問を持つことがあるならば、このような評価方法を取り入れてみるのも一案ではないだろうか。

 お試しあれ!

<関連記事>
SRHAD 式リカバリ・スコア 実践編

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック