硬膜外麻酔にフェニレフリンを併用するメリット
また、硬膜外に投与されたフェニレフリンも局所麻酔薬が血中に吸収されて散逸するのと同様に、血中に徐々に吸収されていく。おかげて硬膜外麻酔による交感神経遮断に起因する血管拡張に拮抗して、血圧低下を予防してくれる。
経験的には、キシロカインは通常 30 分の追加投与時間が 45 分程度に、ロピバカインの追加投与時間は、90分→120分程度に延長できる。つまり、局所麻酔薬の総使用量は 2/3 程度となる。
昔、今のように長時間作用性のロピバカインが使用できなかった頃(ブピバカインは使用できたが)、若い研修医に THA の麻酔の維持を任せていた。硬膜外への局所麻酔薬の追加について、「キシロカインを 30 分ごとくらいに、バイタル見ながら 5ml ずつ追加していってくれ。」と指導していたが、手術がかなり長時間かかってしまい、結局、手術が終了した時点で、硬膜外投与したキシロカインの総投与量は 70ml 以上に達していた。
患者さんは、若い女性であったが、なかなか覚醒しなかった。原因は、おそらくキシロカインの過量投与によるものであった。
局所麻酔薬も投与量が多くなれば、当然のことながら血中濃度も上昇し、全身性の副作用も増加する。この症例は極端な例ではあるが、局所麻酔薬の過量投与によっても覚醒遅延は起きうるのである。
麻酔からの覚醒を良好にするには、当たり前の話だが、短時間作用性の薬剤を使用することに加えて、鎮静に影響を及ぼす薬剤の使用量を可及的に少なくすることだ。局所麻酔薬も鎮静に影響する薬物だ。
<硬膜外麻酔にフェニレフリンを併用するメリット>
1.局所麻酔薬の作用時間を延長することができる。
2.循環血液中の局所麻酔薬濃度上昇を抑制して全身性の副作用を低減できる。
3.交感神経遮断→血管拡張に起因する血圧低下を予防する効果がある。
4.硬膜外投与する局所麻酔薬の総使用量を少なくし、良好な覚醒状態が得られる。
「エビデンスはあるのか!?」と言われる方は、以下の文献を参照してみてください。
1.Epidural Phenylephrine Attenuates Hypotension Induced by Alkalinized Lidocaine Epidural Anesthesia【日本語訳】
2.The Effect of Epidural Phenylephrine on Hypotension Induced by Epidural Anesthesia for Cesarean Delivery. 【日本語訳】

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