人工膝関節全置換術(TKA)に際しての硬膜外鎮痛は 1 日 vs 2 日:後ろ向きコホート研究
One-Day vs Two-Day Epidural Analgesia for Total Knee Arthroplasty (TKA): A Retrospective Cohort Study
Open Orthop J. 2010; 4: 31?38. Published online 2010 January 19. doi: 10.2174/1874325001004010031
・米国では毎年 500,000 件以上の人工膝関節全置換術(TKA)が行なわれるが、術後疼痛管理は大きく異なる。硬膜外鎮痛で管理された患者では、硬膜外カテーテルは一般に術後 2 日目に抜去される。私たちは、TKA を受けた患者で、術後 1 日目(POD 1 群)に硬膜外カテーテルを抜去した場合の院内転帰を、術後 2 日目(POD 2 群)に抜去した場合とで比較した。
・2007 年 1月 から 7 月までに、同一の外科医によって TKA を施行された、硬膜外鎮痛で管理された 89 人の患者を特定した。本研究は、2007 年 3 月以前に POD 2 に硬膜外抜去する(n=34)方針から、POD 1 に抜去する(n=55)方針への診療法の変更を利用した。データはカルテ調査によって得られ、二変数・多変数法で分析された。転帰には膝関節可動域(ROM)、鎮痛(0 ~ 10 点)、歩行距距離、麻薬使用量、在院日数を含んだ。
・患者の平均年齢は 68±10 歳であった。術前の患者特性には、群間に臨床的に重症な差は認められなかった。POD 1 群の患者の方が、在院日数が短かった(中央値 3 日 vs 4 日 POD 2 群、p<0.001)。さらに POD 1 群では術後 2 日目の歩行距離が長かった(平均 38 フィート vs 9 フィート POD 2 群、p<0.002)。他動的 ROM、2 日目の疼痛、麻薬の使用量に関しては、群間に差を認めなかった。POD 1 群は、2 日目の持続的受動運動の場合には、制限が、POD 2 群よりも大きく(50°vs 65°、p=0.031)、また、POD 1 群は、退院時点での受動的可動域がやや狭かった(例えば、受動屈曲 82° vs 76° POD 2 群、p=0.078)。
・TKA 疼痛管理を計画する際には、POD 1 戦略で得られる在院期間短縮と早期の歩行達成と、POD 2 戦略で得られる退院時の良好な ROM とのバランスを考慮するべきである。これらの結果は、より長期的な研究と無作為のデザインで確認されるべきである。
[!]:当院でも同様に硬膜外カテーテル抜去が以前の 2 日目から 1 日目になっている症例が多いのだが、この研究では一長一短があるという結果だ。患者さんの長期的転帰からすれば本当はどちらが良いのだろうか。
Open Orthop J. 2010; 4: 31?38. Published online 2010 January 19. doi: 10.2174/1874325001004010031
・米国では毎年 500,000 件以上の人工膝関節全置換術(TKA)が行なわれるが、術後疼痛管理は大きく異なる。硬膜外鎮痛で管理された患者では、硬膜外カテーテルは一般に術後 2 日目に抜去される。私たちは、TKA を受けた患者で、術後 1 日目(POD 1 群)に硬膜外カテーテルを抜去した場合の院内転帰を、術後 2 日目(POD 2 群)に抜去した場合とで比較した。
・2007 年 1月 から 7 月までに、同一の外科医によって TKA を施行された、硬膜外鎮痛で管理された 89 人の患者を特定した。本研究は、2007 年 3 月以前に POD 2 に硬膜外抜去する(n=34)方針から、POD 1 に抜去する(n=55)方針への診療法の変更を利用した。データはカルテ調査によって得られ、二変数・多変数法で分析された。転帰には膝関節可動域(ROM)、鎮痛(0 ~ 10 点)、歩行距距離、麻薬使用量、在院日数を含んだ。
・患者の平均年齢は 68±10 歳であった。術前の患者特性には、群間に臨床的に重症な差は認められなかった。POD 1 群の患者の方が、在院日数が短かった(中央値 3 日 vs 4 日 POD 2 群、p<0.001)。さらに POD 1 群では術後 2 日目の歩行距離が長かった(平均 38 フィート vs 9 フィート POD 2 群、p<0.002)。他動的 ROM、2 日目の疼痛、麻薬の使用量に関しては、群間に差を認めなかった。POD 1 群は、2 日目の持続的受動運動の場合には、制限が、POD 2 群よりも大きく(50°vs 65°、p=0.031)、また、POD 1 群は、退院時点での受動的可動域がやや狭かった(例えば、受動屈曲 82° vs 76° POD 2 群、p=0.078)。
・TKA 疼痛管理を計画する際には、POD 1 戦略で得られる在院期間短縮と早期の歩行達成と、POD 2 戦略で得られる退院時の良好な ROM とのバランスを考慮するべきである。これらの結果は、より長期的な研究と無作為のデザインで確認されるべきである。
[!]:当院でも同様に硬膜外カテーテル抜去が以前の 2 日目から 1 日目になっている症例が多いのだが、この研究では一長一短があるという結果だ。患者さんの長期的転帰からすれば本当はどちらが良いのだろうか。
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