NT-proBNP 濃度と心臓術後の長期的転帰:前向きコホート研究

N-terminal pro-B-type natriuretic peptide concentrations and long-term outcome after cardiac surgery: a prospective cohort study
Br. J. Anaesth. (2013) 110 (2): 214-221. doi: 10.1093/bja/aes379 First published online: November 25, 2012

・N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)濃度は、多くの状況で心血管転帰を予測する。心臓手術後の長期的転帰予測における NT-proBNP 濃度の有用性を評価したデータは極めて少ない。本研究では、確認された臨床リスク予測ツールと比較して、NT-proBNP の 3年後死亡率の予測能を評価した。

・心臓手術を受ける 1010 人の患者の前向きに募られた患者集団の二次分析である。EuroSCORE を含むベースラインの臨床的詳細が取得された。多変量モデル作成、ROC 曲線下面積(AUC)、総再分類改善度(Net Reclassification. Improvement)を利用した。

・NT-proBNP は 3 年後死亡率の単変量予測因子であったが、多変量モデルではもはや有意な予測因子ではなかった(250ng/L 当たり 危険率 1.00、95%信頼区間0.98-1.02、P=0.80)。術前の EuroSCORE(加算版とロジスティック版の両方)と NT-proBNP の相対的および相加的な予測価値を比較した。いずれもほとんど同じ AUC で(EuroSCORE で 0.71、NT-proBNP で 0.70)、3 年後死亡率を予測した(p<0.001)。EuroSCORE か NT-proBNP 濃度が分かっていれば、他方を追加しても 3 年後死亡率予測能は改善しない。

・術前の NT-proBNP 濃度と EuroSCORE は、心臓手術 3 年後死亡率に関して、同等で、適度の、予測精度を有する。EuroSCORE は臨床データを使用するが、個々の患者の臨床リスク予測に日常的には使用されていない。NT-proBNP の測定は追加費用がかかるが、迅速に、客観的に測定することができる。このように予測性能が同様なので、計算の簡便性や費用などが臨床日常診療での利用を決定しそうだ。

[!]:EuroSCORE の計算はフォームへの入力項目がかなり多いから面倒だ。予測性能が同等ならば、NT-proBNP 濃度の検査オーダーする方がかなり楽だろう。

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