アセトアミノフェンの静注投与は PONV を減少させる: 系統的レビューとメタ分析
Intravenous Acetaminophen Reduces Post-Operative Nausea and Vomiting: A Systematic Review and Meta-Analysis
PAIN Available online 11 January 2013
・オピオイドは、術後悪心嘔吐(PONV)の重要な危険因子である。 静脈内(IV)アセトアミノフェンは、術後疼痛とオピオイド必要量を減らすことから、IV アセトアミノフェンが PONV を含むオピオイドによって誘発される副作用の発生率低下と関係していることが期待される。
・本研究では、メドラインとコクラン・データベースを使った系統的検索と、補足的に議事録集の手検索を実施し、IV アセトアミノフェンの無作為対照化試験(RCT)を特定した。包含基準は、a) IV アセトアミノフェン対偽薬対照で無作為化、b) 全身麻酔、c) PONV の転帰を報告しているか、入手可能である、であった。主要転帰は術後嘔気(PON)で、副次転帰は術後嘔吐(POV)であった。
・2364 人の患者(アセトアミノフェン群 1223 人、偽薬群 1141 人)を伴う 30 件の研究を含めた。相対危険度(95%CI)は、嘔気で 0.73(0.60~0.88)、嘔吐で 0.63(0.45~0.88)であった。データは嘔気(p=0.02、I2=38%)と嘔吐(p=0.006、I2=47%)のいずれでも有意な異質性を示したが、初回投与のタイミングで研究をグループ化すると均一であった: 手術前 0.54(0.40~0.74)であれ、PACU 到着前 0.67(0.55~0.83)であれ、予防的に投与された場合には、IV アセトアミノフェンは嘔気を減少させたが、疼痛が発現後に投与された場合には減少させなかった 1.12(0.85~1.48)。IVア セトアミノフェンが予防的に投与された場合、嘔気の減少度は、疼痛の軽減度(オッズ比 0.66、0.47-0.93)に相関していたが、術後オピオイド使用量の減少(オッズ比 0.89、0.64-1.22)とは相関していなかった。
・予防的に投与された IV アセトアミノフェンは、主に優れた疼痛管理を媒介として PONV を減少させた。
PAIN Available online 11 January 2013

・本研究では、メドラインとコクラン・データベースを使った系統的検索と、補足的に議事録集の手検索を実施し、IV アセトアミノフェンの無作為対照化試験(RCT)を特定した。包含基準は、a) IV アセトアミノフェン対偽薬対照で無作為化、b) 全身麻酔、c) PONV の転帰を報告しているか、入手可能である、であった。主要転帰は術後嘔気(PON)で、副次転帰は術後嘔吐(POV)であった。
・2364 人の患者(アセトアミノフェン群 1223 人、偽薬群 1141 人)を伴う 30 件の研究を含めた。相対危険度(95%CI)は、嘔気で 0.73(0.60~0.88)、嘔吐で 0.63(0.45~0.88)であった。データは嘔気(p=0.02、I2=38%)と嘔吐(p=0.006、I2=47%)のいずれでも有意な異質性を示したが、初回投与のタイミングで研究をグループ化すると均一であった: 手術前 0.54(0.40~0.74)であれ、PACU 到着前 0.67(0.55~0.83)であれ、予防的に投与された場合には、IV アセトアミノフェンは嘔気を減少させたが、疼痛が発現後に投与された場合には減少させなかった 1.12(0.85~1.48)。IVア セトアミノフェンが予防的に投与された場合、嘔気の減少度は、疼痛の軽減度(オッズ比 0.66、0.47-0.93)に相関していたが、術後オピオイド使用量の減少(オッズ比 0.89、0.64-1.22)とは相関していなかった。
・予防的に投与された IV アセトアミノフェンは、主に優れた疼痛管理を媒介として PONV を減少させた。
ひこ
日本国内でも治験実施中らしい。
疼痛の発生と PONV には微妙な関係があるのだなあ!疼痛発現→交感神経刺激→反射性副交感神経刺激→嘔気の発生などというサイクルが想定できるかもしれない。いずれにしろ術後疼痛も PONV もないに越したことはないから、アセトアミノフェンの静注投与は推奨される。
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