腹腔鏡術後の肩と上腹部痛の予防:無作為対照試験

Prevention of Postlaparoscopic Shoulder and Upper Abdominal Pain: A Randomized Controlled Trial
Obstetrics & Gynecology: March 2013 - Volume 121 - Issue 3 - p 526-531

・腹腔鏡後の肩と上腹部痛を和らげるために肺加圧操作と腹膜内生理食塩水注入の併用処置の効果を推定することであった。

・患者は併用処置群(n=50)か、対照群(n=50)に無作為割付けされるた。腹腔鏡後の肩の痛みと上腹部痛は、術後 12、24、48 時間に評価された。

・12、24、48 時間の時点で、腹腔鏡誘発性の肩の痛みの発生頻度は、対照群(それぞれ、72%、70%、50%)よりも処置群(それぞれ、54%、46%、30%)で低かった(それぞれ、P=.008、P=.001、P=.004)。肩の痛みの発生率を減らすための治療必要数 (NNT)は、12 時間の時点で 6(95%信頼区間[CI]、4-21)、24 時間で 5(95%CI、3-10)、48 時間で 5(95%CI、4-15)であった。腹腔鏡誘発性の上腹部痛の発生率も、術後 12、24、48 時間で、対照群(それぞれ、92%、90%、70%)よりも処置群(それぞれ、78%、72%、58%)で低かった(それぞれ、P=.006、P=.001、P=.077)。上腹部痛発生率を減らすための治療必要数は、12 時間後で 6(95%CI、4-14)、24 時間で 8(95%CI、5-24)であった。

・肺加圧操作と腹膜内生理食塩水注入という処置の併用は、腹腔鏡後の肩と上腹部の疼痛を有意に軽減するのに、日常臨床診療で容易に実施できる。

[!]:痛みの原因は、CO2 気腹によるもので、貯留した二酸化炭素が横隔膜と肩を刺激しながら抜けていくためと言われているようだ。人体にとって二酸化炭素の貯留は非常に大きなストレスになるのだろう。2 分呼吸を止めてみれば分かるだろう。酸素飽和度は全く下がらないのに死にそうになる。

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