救急部門のセプシス管理におけるプレセプシンの診断的、予後予測的価値; 多施設前向き研究

Diagnostic and prognostic value of Presepsin in the management of sepsis in the emergency department: a multicentre prospective study
Critical Care 2013, 17:R168 Published:2013-07-30

・セプシス、重症セプシス、セプティック・ショックは、よく見られる死亡率の高い状態であり、救急部門(ED)でのその早期診断が生存率を改善するための鍵の 1 つである。プロカルシトニン(PCT)が、セプシス患者のバイオマーカーとして使用されてきたが、特異性が限られており、全身炎症反応症候群(SIRS)の他の病態でも上昇しうる。可溶性 CD14 やプレセプシンは、単球/マクロファージ上に表出されるグリコプロテインの遊離断片である: 予備報告では、プレセプシンは、セプシス患者では健康な人と比較して有意に高いことが示唆されている。本研究の目的は、SIRS 症状があって ED を訪れ、セプシスやセプティック・ショックが疑われる患者で、PCT と比較して、プレセプリンの診断的、および予後予測的価値を調査することであった。

・研究は、トリノの 2 つの大病院で実施された。セプシスやセプティック・ショックの疑いがあり ED に搬入された 106 人の患者が対象となった。SIRS はあるが、感染の臨床的エビデンスのない別の 83人の患者が対照群として募られた。血液検体は、初回の医学的評価時点で収集され、何人かの患者は 24、72 時間後に採取された 。検体は、sCD14 に対しては Pathfast(R) プレセプシン・アッセイを、その他の測定値(例えば、 PCT)については商用キットを使用して分析した。確定診断と生存率は、後で、電子診療録を分析して取得した。

・初診時のプレセプシン高濃度は、対照患者と比較して、セプシス患者で観察された; 同じ傾向は、PCT の平均値についても観察された。プレセプシンのより高値は、初診時(時間 0、T0)に、セプシスの患者で観察された。PCT の診断的正確さは一般に高く、曲線下面積は、 PCT で 0.875、プレセプシンで 0.701であった。平均プレセプシン値は、生存群よりも非生存セプシス患者群(60 日死亡)で、有意に高かった。PCT と生存率との間には有意な相関関係は認められなかった。

・我々の経験では、ED に現れる、SIRS、セプシス、重症セプシスと、セプティック・ショックのある複雑な患者集団で、プレセプシンは感染の早期診断に有用である。プレセプシンは、有意な予後診断的価値を有しており、初期値は、セプシス、重症セプシス、セプティック・ショックを患っている患者の病院死亡率と有意に相関していた。

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