デスフルラン vs セボフルラン: ストレス反応の比較

Desflurane versus sevoflurane: a comparison on stress response
Minerva Anestesiologica 2013 January;79(1):7-14 Marana E et al.

・神経液性、免疫性および代謝性変化が、傷害の強度、総手術時間及び麻酔法との関連において手術術式を特徴付ける。そこで、著者らは、術中と術後のストレスホルモンと炎症性サイトカイン放出に及ぼすセボフルラン麻酔 vs デスフルラン麻酔の効果を比較した。

・良性卵巣嚢腫に対する腹腔鏡下手術を受ける 50 人の白人女性を、フェンタニルの静注とレミフェンタニル持続注入に加えて、吸入麻酔としてデスフルラン(DES 群、N=25)か、またはセボフルラン(SEVO 群、N.=25)を投与されるよう無作為化した。ノルアドレナリン、アドレナリン、ACTH、コルチゾールの血漿濃度を、術前(T1)、手術開始 30 分後(T2)、手術終了 30分、2、4 時間後(それぞれ、T3、T4、T5)に測定した。インターロイキン 6(IL-6) 、ブドウ糖、C-反応性蛋白(CRP)は、T1、T2、T3、T4、T5、手術終了 12 時間後(T6)に測定した。

・術中(T2)と術直後(T3)に両群でカテコールアミンの増加が観察された。しかし、アドレナリンとノルアドレナリン濃度は SEVO 群と比較して、DES 群で有意に高かった。両群でコルチゾール濃度の低下が観察されたが、DES 群でだけ術中に、前値および SEVO 群と比較して有意差があった。一方、結果として起こる ACTH の増加は、T2-T4 時点では SEVO 群で有意に高かった。T5 で術前値に復した。ブドウ糖、IL-6、CRP 値、術後疼痛は、群内の各時点間、SEVO 群 vs DES 群の群間で有意差を示さなかった。

・今回の研究で、著者らはデスフルランとセボフルランでは、腹腔鏡手術の場合、ストレス反応が異なることを明らかにした。デスフルラン麻酔中のカテコールアミン分泌増加は、心血管疾患の既往のある患者では有害な影響を与える可能性がある。ストレスの少ない手術では、デスフルランは、セボフルランと比較して、術中コルチゾールと ACTH 反応(T2)の良好な制御と関連していた。さらに、ACTH 分泌は術後にも(T3-T4)少ない結果となった。両ガスは、IL-6、CRP、ブドウ糖の血漿濃度には影響を及ぼさなかった。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック