Q:挿管後の胸部聴診で5点聴診をするのがスタンダードとなっていたのはなぜか?
A:挿管後の聴診は、昔は胸部だけを行っていた。しかし、これだけでは確実に食道挿管を否定することができないことがある。食道挿管になっていても呼吸音に似た音が聞こえることがあるからだ。
挿管前のマスク換気時に、胃に送気してしまって胃がガスでパンパンになっていると、通常は一方向弁のように機能する噴門部が開いてしまって、吸気・呼気に合わせて胃内にガスがスムーズに出入りするようになる。
この場合、管(食道)の先に袋(胃)が付いているという解剖学的構造は、気管の先に肺が付いている構造体と非常に似たものとなる。しかも、前酸素化のおかげで、肺内には十分な酸素ガスが存在したために、食道挿管していてもしばらくは酸素飽和度が低下することはなく、肺内の酸素ガスが肺血流によって運ばれて肺胞虚脱をきたすと、最終的には全無気肺をきたす。
通常、胸部に当てた聴診器と胃との間には、含気肺が存在するはずだが、介在する組織が無気肺となると、音の伝導性が格段に高まり、胃を出入りするガスの音が、いかにも肺を換気している音に聞こえてしまうことがある。
胸部聴診だけでは、食道挿管でも呼吸音に似た音が聞こえることがあるので、胃部も聴診して胃部で同様の音が聞こえないことを確認するために5点聴診をすることがスタンダードとなっていった。
実は、私は以上の現象を実際に体験したことがある。かれこれ 20 年くらい前の事である。
追記:2022 年に「未認識食道挿管の防止:気道管理の普遍化プロジェクトおよび国際気道学会連合による合意ガイドライン」が発表され、気管挿管後の食道挿管を除外する方法は、「漸減しないカプノグラフィ」を確認することがゴールド・スタンダードであり、胸部聴診や 5 点聴診は使用してはいけないとされている(2025/10/24 記)。
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認識されない食道挿管を防ぐ:気道の普遍的管理のためのプロジェクト(PUMA)と国際気道学会によるコンセンサスガイドライン
挿管前のマスク換気時に、胃に送気してしまって胃がガスでパンパンになっていると、通常は一方向弁のように機能する噴門部が開いてしまって、吸気・呼気に合わせて胃内にガスがスムーズに出入りするようになる。
この場合、管(食道)の先に袋(胃)が付いているという解剖学的構造は、気管の先に肺が付いている構造体と非常に似たものとなる。しかも、前酸素化のおかげで、肺内には十分な酸素ガスが存在したために、食道挿管していてもしばらくは酸素飽和度が低下することはなく、肺内の酸素ガスが肺血流によって運ばれて肺胞虚脱をきたすと、最終的には全無気肺をきたす。
通常、胸部に当てた聴診器と胃との間には、含気肺が存在するはずだが、介在する組織が無気肺となると、音の伝導性が格段に高まり、胃を出入りするガスの音が、いかにも肺を換気している音に聞こえてしまうことがある。
胸部聴診だけでは、食道挿管でも呼吸音に似た音が聞こえることがあるので、胃部も聴診して胃部で同様の音が聞こえないことを確認するために5点聴診をすることがスタンダードとなっていった。
実は、私は以上の現象を実際に体験したことがある。かれこれ 20 年くらい前の事である。
追記:2022 年に「未認識食道挿管の防止:気道管理の普遍化プロジェクトおよび国際気道学会連合による合意ガイドライン」が発表され、気管挿管後の食道挿管を除外する方法は、「漸減しないカプノグラフィ」を確認することがゴールド・スタンダードであり、胸部聴診や 5 点聴診は使用してはいけないとされている(2025/10/24 記)。
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