Q:TOF とは? どう評価するのか?

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A:「トレイン・オブ・フォー刺激(Train Of Four Stimulation)」の略で、日本語に訳すと「4 連刺激」という意味で、0.5 秒おきに 4 回連続で刺激することを指す。
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厳密には、刺激順に T1、T2、T3、T4 刺激、各刺激に対する反応を、T1、T2、T3、T4 反応と呼ぶ。しかし、前後関係から、刺激のことなのか反応のことなのかは、推定できる場合がほとんどなので、「刺激」や「反応」という言葉は省略されて、単に「T1」「T4」と記すことも多い。

TOF の評価法には、2 種類ある。

筋弛緩がまったく効いていないときには、T1 反応の高さと T4 反応の高さは全く同じである。つまり、T1=T4。ある程度、筋弛緩が効いてくると、T1 反応がベースラインに比べて低くなってくるとともに、刺激の順に次第に高さが減じてきて、T1>T2>T3>T4 となる。

(1) 四連反応比(TOF 比:train-of-four ratio=TOFR)

T1 反応と T4 の比(T4/T1)で、筋弛緩の状態を評価する(通常、単位は %)。

ところが、さらに筋弛緩の程度が深くなってくると、T4 反応が出なくなる。つまり、TOF 比=0% となる。さらに深いと T3 反応が消失、次いで T2 が消失、最終的には T1 も消失してしまう。

(2) 四連反応数(TOF カウント:train-of-four count)

四連刺激に対する反応を何個まで検出できるかで筋弛緩の状態を評価する(TOF=0~4)。

現在、多くの施設で使用されているであろう筋弛緩モニター「TOF ウォッチ」の TOF モードでは、この 2 つの評価方法を使用して、筋弛緩の程度をモニターできるようになっている。

4 回の反応をすべて検出できると、四連反応比(%)が表示される。検出できない反応があったり、たとえ T4 が検出されても TOF 比<20% の場合は、検出できた反応の個数のみ(四連反応数)が表示されるようになっている。

つまり、%で表現されている場合は、TOF 比であり、単に数値(1~4)が表示されている場合は、TOF カウントが表示されている。

筋弛緩が深くなるにつれて、TOF 反応は下図のように変化してゆく。

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なお、TOF カウント=0 よりも深い筋弛緩の程度は TOF モードでは評価できない。

この記事へのコメント

2017年02月04日 16:21
TOFR=T4/T1
では
SRHAD-KNIGHT
2017年02月04日 21:03
ご指摘の通りです。
訂正しておきました。
コメント、ご指摘ありがとうございました。m(..)m
モナー
2018年11月06日 14:15
非脱分極性筋弛緩薬を部分ブロックした時、四連刺激では減衰が見られますか?
SRHAD-KNIGHT
2018年11月07日 09:01
モナー様、ご質問ありがとうございます。
「非脱分極性筋弛緩薬を部分ブロック」の意味がよく分かりませんが、「非脱分極性筋弛緩薬によって、神経筋接合部を部分的にブロックした時」という意味で有れば、通常の答えとしては「神経筋接合部には margin of safety という概念があって、受容体の 70~80% が占拠されないと神経筋伝達は障害を受けない。これ以上の受容体が非脱分極性筋弛緩薬によって占拠された場合には、その量に応じて、四連刺激では減衰が見られる」という事になると思います。
モナー
2018年11月08日 18:58
非脱分極性筋弛緩薬によって神経筋接合部を部分的にブロックした時という意味でございます。質問が曖昧で申し訳ございません。四連刺激で減衰がなぜ見られるのか?理解できずにいましたが、先生のお陰で理解できました! 唐突な質問でしたが、丁寧にわかりやすい言葉で答えていただき本当にありがとうございました!
SRHAD-KNIGHT
2018年11月09日 07:39
>四連刺激で減衰がなぜ見られるのか?
すみません、的外れな答えをしてしまったかもしれません。
なぜ減衰するのかについては・・・。
T1(1回目の刺激)によって神経筋接合部内に放出されたアセチルコリンは、受容体に結合している非脱分極性筋弛緩剤分子を押しのけて競合的に結合しようとするのでしょう。T1で押しのけることのできる受容体数は比較的に多いけれども、0.5 秒後のT2(2回目の刺激)、さらに、T3、T4 によって押しのけることのできる受容体数は前回の刺激よりも少なくなり、結果的に神経筋伝達は次第に量的に少なくなり、したがって、筋肉の収縮反応は弱くなり、減衰していくものと考えます T1>T2>T3>T4。

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