Q:「precurarization」 とは? 「recurarization」 とは?
A:まずは、これら造語の語源から。
<語源に分解>
・「pre-」:接頭辞であり、「あらかじめ」、「以前の」、「前もって」の意味(<=> post-)。
・「re-」:接頭辞で、動詞やその派生語に用いて、「再び」、「新たに」、「繰り返して」 の意味。
・「curare」:クラーレ、南米アマゾンの原住民インディアンが毒矢に塗って用いた植物から採取される猛毒物質で、有効成分は d-ツボクラリンであり,ほかにクラリンなど多くのクラーレアルカロイドを含む。d-ツボクラリンは筋弛緩作用をもち Griffith と Johnson(カナダ、1942 年)により初めて筋弛緩薬として臨床応用された。したがって、臨床で「クラレ」と言えば、筋弛緩薬の元祖である「d-ツボクラリン」か、その近縁物質である非脱分極性筋弛緩薬全般を意味する。
・「-ize」:接尾辞であり、①[自動詞を作る] 「~になる」、「~化する」②[他動詞を作る] 「~にする[化する]」、「~で処理する」の意味。
・「-ization」:接尾辞であり、「-ize」で終わる動詞に対応する名詞語尾である。
「precurarization」(前クラレ化):前もってクラレ化しておくこと。
脱分極性筋弛緩薬であるサクシニルコリンを使用して筋弛緩を得る場合、単独で使用すると線維束攣縮のために全身の筋肉が痙攣をきたして、一時的に細胞内から細胞外へ多量のカリウムが放出されて一過性の高カリウム血症をきたす。また、この筋痙攣のために、筋弛緩からの回復後に筋肉痛をきたすことがある。
これらサクシニルコリンの副作用を軽減するために、神経筋接合部のアセチルコリン受容体を、あらかじめ少量の非脱分極性筋弛緩薬で神経筋伝達が障害を受けない程度に占拠しておくこと。実際に、precurarization を行っておくことで、サクシニルコリン投与後の線維束攣縮は緩和され、血中カリウムの上昇もある程度抑制できるとされている。
実際にやることは、筋弛緩目的でボーラス投与する非脱分極性筋弛緩薬用量の 1/5~1/10 程度の少量の非脱分極性筋弛緩薬を投与するもので、非脱分極性筋弛緩薬の作用発現時間の短縮を目的とした「priming priciple」とほとんど同じである。ただ、目的が異なる。
「recurarization」(再クラレ化):再びクラレ化されてしまうこと。
非脱分極性の筋弛緩薬を使用した麻酔を終了する場合、従来はネオスチグミンなどの抗コリンエステラーゼ薬を、現在ではロクロニウムやベクロニウムの特異的拮抗薬であるブリディオンを投与して、その筋弛緩作用に拮抗させるが、この筋弛緩薬は完全に神経筋接合部のアセチルコリン受容体から追い出されてしまったわけではない。
ときとして麻酔終了後に筋弛緩効果が再出現することがあり、これお再クラレ化と呼んでいる。再クラレ化のメカニズムは、拮抗薬の種類によって異なると考えられ、筋弛緩薬と拮抗薬の作用持続時間の関係や、第 3 コンパートメントからの薬物移動、電解質の変化、抗生物質投与などが想定されている。
<語源に分解>
・「pre-」:接頭辞であり、「あらかじめ」、「以前の」、「前もって」の意味(<=> post-)。
・「re-」:接頭辞で、動詞やその派生語に用いて、「再び」、「新たに」、「繰り返して」 の意味。
・「curare」:クラーレ、南米アマゾンの原住民インディアンが毒矢に塗って用いた植物から採取される猛毒物質で、有効成分は d-ツボクラリンであり,ほかにクラリンなど多くのクラーレアルカロイドを含む。d-ツボクラリンは筋弛緩作用をもち Griffith と Johnson(カナダ、1942 年)により初めて筋弛緩薬として臨床応用された。したがって、臨床で「クラレ」と言えば、筋弛緩薬の元祖である「d-ツボクラリン」か、その近縁物質である非脱分極性筋弛緩薬全般を意味する。
・「-ize」:接尾辞であり、①[自動詞を作る] 「~になる」、「~化する」②[他動詞を作る] 「~にする[化する]」、「~で処理する」の意味。
・「-ization」:接尾辞であり、「-ize」で終わる動詞に対応する名詞語尾である。
「precurarization」(前クラレ化):前もってクラレ化しておくこと。
脱分極性筋弛緩薬であるサクシニルコリンを使用して筋弛緩を得る場合、単独で使用すると線維束攣縮のために全身の筋肉が痙攣をきたして、一時的に細胞内から細胞外へ多量のカリウムが放出されて一過性の高カリウム血症をきたす。また、この筋痙攣のために、筋弛緩からの回復後に筋肉痛をきたすことがある。
これらサクシニルコリンの副作用を軽減するために、神経筋接合部のアセチルコリン受容体を、あらかじめ少量の非脱分極性筋弛緩薬で神経筋伝達が障害を受けない程度に占拠しておくこと。実際に、precurarization を行っておくことで、サクシニルコリン投与後の線維束攣縮は緩和され、血中カリウムの上昇もある程度抑制できるとされている。
実際にやることは、筋弛緩目的でボーラス投与する非脱分極性筋弛緩薬用量の 1/5~1/10 程度の少量の非脱分極性筋弛緩薬を投与するもので、非脱分極性筋弛緩薬の作用発現時間の短縮を目的とした「priming priciple」とほとんど同じである。ただ、目的が異なる。
「recurarization」(再クラレ化):再びクラレ化されてしまうこと。
非脱分極性の筋弛緩薬を使用した麻酔を終了する場合、従来はネオスチグミンなどの抗コリンエステラーゼ薬を、現在ではロクロニウムやベクロニウムの特異的拮抗薬であるブリディオンを投与して、その筋弛緩作用に拮抗させるが、この筋弛緩薬は完全に神経筋接合部のアセチルコリン受容体から追い出されてしまったわけではない。
ときとして麻酔終了後に筋弛緩効果が再出現することがあり、これお再クラレ化と呼んでいる。再クラレ化のメカニズムは、拮抗薬の種類によって異なると考えられ、筋弛緩薬と拮抗薬の作用持続時間の関係や、第 3 コンパートメントからの薬物移動、電解質の変化、抗生物質投与などが想定されている。
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