気管切開は 14 日間以上の人工呼吸重症患者にとって気管挿管よりも良い選択肢か?短期的転帰の比較

Is tracheostomy a better choice than translaryngeal intubation for critically ill patients requiring mechanical ventilation for more than 14 days? A comparison of short-term outcomes.
BMC Anesthesiol. 2015 Dec 15;15:181. doi: 10.1186/s12871-015-0159-9.

・気管切開は、集中治療室(ICU)で 14 日以上人工呼吸(MV)を受ける患者に推奨される。にもかかわらず、長期 MV を受ける多くの患者は、経喉頭経路を介して挿管されたままである。本研究の目的は、14 日以上人工呼吸を受ける患者で、気管切開と経喉頭挿管継続が短期的転帰に及ぼす影響を検証することであった。

・2012 年 1 月 1 日から 2012 年 12 月 31 日まで、75 床の ICU の入院データベースを用いて、後ろ向き研究を行った。人工呼吸開始時点で気管切開されておらず長時間の MV を必要とした患者が含まれた。アウトカムは離脱の成功、ICU 死亡と、院内死亡であった。他の潜在的な交絡因子を調整しながら、Cox モデルを作成して、気管切開が転帰尺度に及ぼす影響を計算した。

・長期 MV を必要とする 508 人の患者のうち、164 人が MV の中央値 18 日後に気管切開された。経喉頭挿管が維持された患者群の方が、ICU(42.7% vs 17.1% 、P<0.001)、院内(54.1% vs 22.0%、P<0.001)死亡率が有意に高く、離脱成功率が有意に低かった(40.4% vs 68.9%、P<0.001)。気管切開を行う傾向スコアで相応させた後も、結果は、一貫していた。;また、時間依存性共変量 Cox モデルでは、気管切開は、独立して、低い院内死亡率(調整ハザード比 [AHR]、0.26、95%信頼区間[CI]、0.18-0.39)と高い離脱成功率(aHR、2.05、95%CI、1.56-2.68)と
関連していることが示された。

・長期の人工呼吸を受ける ICU 患者では、気管切開の方が、院内死亡率が低く、離脱成功率が高いこととと関連している。しかし、このコホートに対する気管切開の費用対効果と長期的転帰については、さらなる研究が必要である。

[!]:2 週間以上、気管挿管したままというのは、ある意味「ほったらかし」だから、当然予後は悪くなるのかもしれない。死腔の減少、鎮痛鎮静剤の削減、口腔鼻腔内の清潔を保持できる、吸痰が容易になる、など気管切開には多くの利点がある。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック