小児の急性呼吸窮迫症候群の発生率と死亡率:系統的レビューとメタ分析

Incidence and Mortality of Acute Respiratory Distress Syndrome in Children: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2016 Apr;44(4):819-29. doi: 10.1097/CCM.0000000000001388.

・小児の急性呼吸窮迫症候群についての著者らの理解は限られており、文献は成人患者における調査で占めている。最近の前臨床試験は、小児の急性呼吸窮迫症候群に対する感受性と重症度は、成人のものとは異なる可能性があることを示唆している。著者らは、過去 20 年間に発表された研究で、小児で報告された急性呼吸窮迫症候群の発生率と死亡率を評価した。

・Medline、Embase、CINAHL データベースを 2014 年 8 月まで検索した。住民、あるいは PICU を基にした、小児(>妊娠 36週、<18 歳)の急性呼吸窮迫症候群の発生率と死亡率を報告している記事を選択した。データ抽出は、2人の著者が別々にデータを収集し、選択した研究の方法論の質とバイアスのリスクを評価した。発生率と死亡率のプールされた推定値はランダム効果モデルを用いて計算した。異質性を探るために、研究の中央年、研究の場所、包含と除外基準、研究デザインと質といった研究特性の影響
をメタ回帰分析によって評価した。

・29 件の研究が発生率について、32 件が死亡率について報告していた。住民および PICU を基にした小児急性呼吸窮迫症候群のプールされた加重推定値はそれぞれ、10 万人年当たり 3.5 例(95%CI、2.2-5.7)と 2.3% (95%CI、1.9-2.9)であった。プールされた加重死亡率は 33.7% (95%CI、28.6-39.7)であった。経時的な増減傾向はなかったが、死亡率は有意に研究場所と関連していた。

・本系統的レビューとメタ分析では、発生率は低いが、死亡率は高いことを示している。その結果はまた、小児の急性呼吸窮迫症候群の罹患率および死亡率の双方が、過去 20 年間変わっていないことと、その死亡率は研究の地理的場所に依存することを示している。

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