脳神経外科手術に際しての座位での麻酔中の脳酸素飽和度と心拍出量:前向き観察研究

Cerebral oxygen saturation and cardiac output during anaesthesia in sitting position for neurosurgical procedures: a prospective observational study
Br. J. Anaesth. (2016) 117 (4): 482-488.

・頭蓋背部の脳外科手術は、しばしば、患者を坐位にすることを必要とする。これは、心拍出量を低下させ、脳の低灌流、そして、おそらくは不十分な脳の酸素化に関連付けられ可能性がある。本研究では、坐位での脳外科手術中に脳酸素飽和度を測定し、心拍出量と関連付けた。

・周術期脳酸素飽和度は、2 種類のの異なるモニタ、INVOSRとFORE-SIGHTR で連続的に測定した。心拍出量は、経食道心エコー検査により事前定義された 8 時点で測定した。

・40 人の患者が登録されたが、最終的に 35 人(20 人が女性)だけが、坐位で手術された。最初の時点で、INVOSRで測定した局所脳酸素飽和度は 70(SD 9)%であった。その後、それは 0.0187%/分増加した (P<0.01)。FORE-SIGHTRで測定した脳組織酸素飽和度は 68(SD 13)% で開始、0.0142%/分増加した(P<0.01)。平均動脈圧は変化しなかった。心拍出量は、事前定義された時点で 6.3(SD 1.3)と 7.2(1.8)L/分であった。心拍出量は、脳酸素飽和度と有意な正の相関を示したが。平均動脈血圧は相関しなかった。

・坐位での脳外科手術中に、脳酸素飽和度はゆっくりと増加し、それゆえ、この体位は、脳酸素飽和度に関しては安全であるように思われる。脳酸素飽和度は、一定の CO と MAP のために安定しているが、脳酸素飽和度に
及ぼす CO の影響の方が意味があるようだ。

[!]:通常は心拍出量まで測定せず、平均動脈圧だけでモニタリングするが、血圧を上げるように努力するよりは、心拍出量が増加するように循環管理しないといけないということだな。

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