Q:フェンタニルとレミフェンタニルはどう使い分ける?
フェンタニルもレミフェンタニルも、同じオピオイド受容体(μ)に作用する鎮痛剤である。どちらも通常は静脈内投与で使用する。
作用力価もほとんど等価とされているので、同じ効果部位濃度では、同じ程度の鎮痛作用、同じ程度の呼吸抑制作用を有すると考えて良い。
異なるのは、その分布容量と、代謝経路の違いから、フェンタニルは短時間作用性~中時間作用性であるのに対して、レミフェンタニルは、即効性があり、また即消退性があり、超短時間作用性であるという点だろう。
フェンタニルは、分布容量が大きく、作用発現が比較的ゆっくりで、効果の消退もゆっくりなので、強い侵害刺激が加わった時に使用しても、すぐには効果が出現せず、侵害刺激遮断が後手に回りがちになってしまう。
ところが、レミフェンタニルは、分布容量が小さく、同じ量を投与しても急速に効果部位濃度が上がるために、フェンタニルに比べると、急な強い侵害刺激が加わった時にでも、比較的効果的に侵害刺激を遮断することができる。
フェンタニルの代謝臓器は肝臓であり、投与されたフェンタニルが少量の場合は、広い分布容量に拡散することで効果の消退がもたらされるが、投与量が増加するにつれて、効果の消退(つまり効果部位濃度の低下)は肝臓の代謝に依存して低下するようになる。
フェンタニルは、少量投与では短時間作用性であるが、より多くの量を使用することにより中時間作用性となる。使用量が多くなればなるほど、効果部位濃度の低下が緩慢となってゆく。
これに対して、レミフェンタニルは、血中の非特異的コリンエステラーゼで分解されるために、たとえ、高用量を使用しても、投与を中止すれば、急速に効果部位濃度は低下していくために、効果の消退も速やかである。
こうした効果発現と消退の特性から、レミフェンタニルは、比較的侵害刺激の強い手術中の持続的な鎮痛に使用するのが適している。フェンタニルは、それほど侵害刺激の強くない手術中の鎮痛と、術後比較的短時間の鎮痛に適している。
また、レミフェンタニルは、その特性上、効果部位濃度を高く維持できる反面、そのような濃度で使用した場合には、確実に無呼吸となるため、通常は人工呼吸が必要であり、できれば気管挿管、少なくともラリンジアルマスクによる気道確保をしておくべきである。
レミフェンタニルは、あくまで術中鎮痛に使用するべき薬剤で、術後の鎮痛には通常は使用しない。また、日本では術中の全身麻酔での使用しか認められていない。
フェンタニルとレミフェンタニルの作用点は同じであるから、併用投与することには意味がないようにも見える。確かに近視眼的には、レミフェンタニル単独で、効果部位濃度 8μg/mL を達成しようが、フェンタニル 1.5 μg/mL+レミフェンタニル 6.5μg/mL で合計 8μg/mL を達成しようが、その時の麻酔効果としては同じと考えられる。
しかし、もしもその時点で手術が終了して、次の段階として麻酔から覚醒させて、術後の鎮痛を考えないといけない場面では、前者では、急速にレミフェンタニルの効果が消退してゆき、手術侵襲が大きなものであればあるほど、急速に術後疼痛が増強してゆく。
これに対して、後者では、たとえレミフェンタニルの効果が急速に低下しても、フェンタニルの効果部位濃度の低下はゆっくりなので、覚醒後にすぐに強い術後疼痛に襲われるということがない。
ということで、レミフェンタニルを使用していても、フェンタニルを併用投与することには、術後鎮痛という面からみると十分に意味のあることになる。
作用力価もほとんど等価とされているので、同じ効果部位濃度では、同じ程度の鎮痛作用、同じ程度の呼吸抑制作用を有すると考えて良い。
異なるのは、その分布容量と、代謝経路の違いから、フェンタニルは短時間作用性~中時間作用性であるのに対して、レミフェンタニルは、即効性があり、また即消退性があり、超短時間作用性であるという点だろう。
フェンタニルは、分布容量が大きく、作用発現が比較的ゆっくりで、効果の消退もゆっくりなので、強い侵害刺激が加わった時に使用しても、すぐには効果が出現せず、侵害刺激遮断が後手に回りがちになってしまう。
ところが、レミフェンタニルは、分布容量が小さく、同じ量を投与しても急速に効果部位濃度が上がるために、フェンタニルに比べると、急な強い侵害刺激が加わった時にでも、比較的効果的に侵害刺激を遮断することができる。
フェンタニルの代謝臓器は肝臓であり、投与されたフェンタニルが少量の場合は、広い分布容量に拡散することで効果の消退がもたらされるが、投与量が増加するにつれて、効果の消退(つまり効果部位濃度の低下)は肝臓の代謝に依存して低下するようになる。
フェンタニルは、少量投与では短時間作用性であるが、より多くの量を使用することにより中時間作用性となる。使用量が多くなればなるほど、効果部位濃度の低下が緩慢となってゆく。
これに対して、レミフェンタニルは、血中の非特異的コリンエステラーゼで分解されるために、たとえ、高用量を使用しても、投与を中止すれば、急速に効果部位濃度は低下していくために、効果の消退も速やかである。
こうした効果発現と消退の特性から、レミフェンタニルは、比較的侵害刺激の強い手術中の持続的な鎮痛に使用するのが適している。フェンタニルは、それほど侵害刺激の強くない手術中の鎮痛と、術後比較的短時間の鎮痛に適している。
また、レミフェンタニルは、その特性上、効果部位濃度を高く維持できる反面、そのような濃度で使用した場合には、確実に無呼吸となるため、通常は人工呼吸が必要であり、できれば気管挿管、少なくともラリンジアルマスクによる気道確保をしておくべきである。
レミフェンタニルは、あくまで術中鎮痛に使用するべき薬剤で、術後の鎮痛には通常は使用しない。また、日本では術中の全身麻酔での使用しか認められていない。
フェンタニルとレミフェンタニルの作用点は同じであるから、併用投与することには意味がないようにも見える。確かに近視眼的には、レミフェンタニル単独で、効果部位濃度 8μg/mL を達成しようが、フェンタニル 1.5 μg/mL+レミフェンタニル 6.5μg/mL で合計 8μg/mL を達成しようが、その時の麻酔効果としては同じと考えられる。
しかし、もしもその時点で手術が終了して、次の段階として麻酔から覚醒させて、術後の鎮痛を考えないといけない場面では、前者では、急速にレミフェンタニルの効果が消退してゆき、手術侵襲が大きなものであればあるほど、急速に術後疼痛が増強してゆく。
これに対して、後者では、たとえレミフェンタニルの効果が急速に低下しても、フェンタニルの効果部位濃度の低下はゆっくりなので、覚醒後にすぐに強い術後疼痛に襲われるということがない。
ということで、レミフェンタニルを使用していても、フェンタニルを併用投与することには、術後鎮痛という面からみると十分に意味のあることになる。
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