急性肺傷害/急性呼吸窮迫症候群患者の肥満指数は臨床転帰を予測できるか?メタ分析

・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予後に及ぼす肥満指数(BMI)の効果は議論の余地がある。著者らは、BMI と ARDS 患者の急性転帰との関係をさらに調査することを目指した。

・1946 年から 2016 年 7 月に出版された試験を、「BMI」、「body mass index」、「overweight」または「obese」と、「ARDS」、「ALI」、「acute respiratory distress syndrome」、「acute lung injury」or」のキーワードで、出版形態と言語に制限なく、Pubmed、Embase、Medline、Coctrane Controlled Trials(CENTRAL)、ISI Web of Science で検索した。異異質性と感受性分析を実施して、ランダム効果モデルを適用して、オッズ比(OR)や平均差(MD)を計算した。レビューマン(RevMan)を使用して、Mann-Whitney U 検定を用いて仮説を検証した。主要評価項目は未調整死亡率であり、副次評価項目には、人工呼吸(MV)なしの日数、集中治療室(ICU)の在室日数と在院日数(LOS)が含まれた。

・合計 6268 人の患者を対象とした 5 件の試験を今回の最終分析でプールした。ICU 在室期間(I2=71%、χ2=10.27、P=0.02)と人工呼吸なしの日数(I2=89%、χ2=18.45、P<0.0001)は、正常体重患者と過体重患者の間で統計的な異質性があった。正常体重と比較して、低体重は、高い死亡率と関係していた(OR 1.59,95%信頼区間(CI)1.22~2.08、P=0.0006)のに対して、肥満と病的肥満は、死亡率が低くなるという結果になる可能性が高かった(OR 0.68、95 %CI 0.57~0.80、P<0.00001; OR 0.72、95%CI 0.56~0.93、P=0.01)。人工呼吸なしの日数は、病的肥満患者の方がずっと長かった(MD 2.64、95%CI 0.60~4.67、P=0.01)が、ICU 在室期間と在院日数は BMI の影響を受けなかった。今回の分析の重要な限界は、年齢、性別、疾患重症度、併存疾患、転帰パラメータの相互作用に対する調整がなされていないことである。

・肥満と病的肥満は、ARDS 患者の死亡率低下と関連している。

[!]:これもまた、「肥満パラドックス」=「過体重・肥満の人の方が長生きする」という結果。

【出典】
Can body mass index predict clinical outcomes for patients with acute lung injury/acute respiratory distress syndrome? A meta-analysis.
Crit Care. 2017 Feb 22;21(1):36. doi: 10.1186/s13054-017-1615-3.

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック