全肩関節形成術に際し持続斜角筋間、鎖骨上、肩甲上ブロックの二重盲式無作為比較
・斜角筋間からの持続上腕神経叢ブロックは、横隔膜神経麻痺による横隔膜機能不全と関連していることが知られている。腕神経叢に沿ってもっと遠位でのブロックは、潜在的に横隔膜機能への影響を少なくしつつ、術後鎮痛を提供できる可能性がある。全肩関節形成術後の呼吸機能と鎮痛について、持続斜角筋間、持続鎖骨上、持続肩甲上神経ブロックを評価した。
・倫理委員会の承認後、全肩関節形成術を受ける被験者は、持続斜角筋間、鎖骨上、肩甲上ブロックの 1:1:1 の比で無作為化された。主要評価項目は、カテーテル留置時の局所麻酔剤の初回ボーラス投与なしに、持続神経ブロック注入(6mL/h; 0.2%ロピバカイン) 24 時間後の肺活量の評価であった。副次評価項目には、横隔膜偏位、疼痛スコア、オピオイド消費量、有害作用が含まれた。
・75 人の被験者、1 群あたり 25 人が試験を完了した。持続注入 24 時間後(初回ボーラスブロックなし)では、持続斜角筋間群における平均肺活量低下は、991mL(95%信頼区間[CI]、820-1162)であった。斜角筋間群と比較して、持続鎖骨上群の平均肺活量減少は 803mL(95%CI、616-991、P=0.322)であった。同様に斜角筋間群と比較した場合、持続肩甲上群は、平均肺活量減少が 464mL(95%CI、289-639;P<0.001)と有意に改善した。エコーで測定した横隔膜偏位の相対的障害は、鎖骨上群(P=0.012)と肩甲上群(P<0.001)の両方比較して、斜角筋間群で確認された。斜角筋間、鎖骨上、肩甲上各群での 11 点尺度での平均疼痛スコア(2.2、1.6、2.6)と 24 時間オピオイド消費量(13.8mg、9.9mg、21.8mg)は、統計学的に有意差はなかった。斜角筋間群と比較した場合、
肩甲上群では副作用(ホルネル症候群、呼吸困難、嗄声)が少なかった(P=0.002)。
・肩関節形成術後の肺機能の温存が優先事項である場合には、持続肩甲上ブロックは、斜角筋間や鎖骨上アプローチの有用な代替鎮痛法である可能性がある。
[!]:近位で穿刺するほど、無駄に広範囲にブロックが及んで、副作用・症候をもたらすので、できるだけ遠位で穿刺して手術野をカバーするブロックが望ましい。
【出典】
A Double-Blind Randomized Comparison of Continuous Interscalene, Supraclavicular, and Suprascapular Blocks for Total Shoulder Arthroplasty.
Reg Anesth Pain Med. 2017 May/Jun;42(3):302-309. doi: 10.1097/AAP.0000000000000578.
・倫理委員会の承認後、全肩関節形成術を受ける被験者は、持続斜角筋間、鎖骨上、肩甲上ブロックの 1:1:1 の比で無作為化された。主要評価項目は、カテーテル留置時の局所麻酔剤の初回ボーラス投与なしに、持続神経ブロック注入(6mL/h; 0.2%ロピバカイン) 24 時間後の肺活量の評価であった。副次評価項目には、横隔膜偏位、疼痛スコア、オピオイド消費量、有害作用が含まれた。
・75 人の被験者、1 群あたり 25 人が試験を完了した。持続注入 24 時間後(初回ボーラスブロックなし)では、持続斜角筋間群における平均肺活量低下は、991mL(95%信頼区間[CI]、820-1162)であった。斜角筋間群と比較して、持続鎖骨上群の平均肺活量減少は 803mL(95%CI、616-991、P=0.322)であった。同様に斜角筋間群と比較した場合、持続肩甲上群は、平均肺活量減少が 464mL(95%CI、289-639;P<0.001)と有意に改善した。エコーで測定した横隔膜偏位の相対的障害は、鎖骨上群(P=0.012)と肩甲上群(P<0.001)の両方比較して、斜角筋間群で確認された。斜角筋間、鎖骨上、肩甲上各群での 11 点尺度での平均疼痛スコア(2.2、1.6、2.6)と 24 時間オピオイド消費量(13.8mg、9.9mg、21.8mg)は、統計学的に有意差はなかった。斜角筋間群と比較した場合、
肩甲上群では副作用(ホルネル症候群、呼吸困難、嗄声)が少なかった(P=0.002)。
・肩関節形成術後の肺機能の温存が優先事項である場合には、持続肩甲上ブロックは、斜角筋間や鎖骨上アプローチの有用な代替鎮痛法である可能性がある。
[!]:近位で穿刺するほど、無駄に広範囲にブロックが及んで、副作用・症候をもたらすので、できるだけ遠位で穿刺して手術野をカバーするブロックが望ましい。
【出典】
A Double-Blind Randomized Comparison of Continuous Interscalene, Supraclavicular, and Suprascapular Blocks for Total Shoulder Arthroplasty.
Reg Anesth Pain Med. 2017 May/Jun;42(3):302-309. doi: 10.1097/AAP.0000000000000578.
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