子宮筋腫のサイズは、帝王切開時の大量出血の予測因子である

・子宮平滑筋腫は、よく見られる良性腫瘍であり、妊娠や周術期の様々な合併症のリスク因子である。周産期出血は、母体死亡を引き起こす可能性のある最も重大な合併症である。平滑筋腫と周産期出血の関係が示されているが、帝王切開後の大量出血の予知因子としての平滑筋腫の特徴はほとんど知られていない。著者らは、平滑筋腫と妊娠患者の特徴が、帝王切開分娩後女性の大量出血を予測できるかどうかを検討した。

・これは単施設後ろ向きコホート研究である。著者らは 2005 年 1 月から 2011 年 12 月まで、単胎帝王切開分娩を検討した。大量出血の危険因子である胎盤位置異常、胎盤急性傷害、出血性疾患、羊水過多症、誘発後分娩停止を除外した。禁酒切除術はは分娩中には行われなかった。術中大量出血(1000ml 以上)の予測因子を同定するために、多変量ロジスティック回帰分析を行った。母体年齢、肥満指数、出産経歴、妊娠週数、出生体重、平滑筋腫の数、平滑筋腫の最大容積を評価した。平滑筋腫の詳細な特徴は、超音波検査または磁気共鳴画像法を用いて評価した。

・759 人の女性が含まれた。55 人の女性(7.25%)が平滑筋腫を有していた。平滑筋腫を有する 38 人の女性が、磁気共鳴イメージングスキャンを受けた。術中出血の中央値は、平滑筋腫女性では 939ml(395-5296ml)であり、筋腫のない女性では 689ml(129-3060ml)であった。多変量解析では、≧175cm3(オッズ比 6.4[95%信頼区間:1.5-27]、P=0.007)、出生時体重≧2500g(2.3[1.53.6]、P<0.001)、初産婦(1.5[1.1-2.1]、P=0.025)は、術中大量出血の有意な予測因子であった。

・175cm3 以上の平滑筋腫、2500g 以上の出生体重、初産の存在が、帝王切開分娩時の術中大量出血の予測因子であることが判明した。 7cm 直径の球に相当する平滑筋腫≧175cm3 は、妊娠第 1 期中に超音波検査を用いて診断できる。これらの予測因子を有する帝王切開分娩症例では、自己血貯血を含む大量出血に対する準備を考慮してもよかろう。

[!]:大きな筋腫合併妊娠では、帝王切開時に大量出血をきたす可能性があると。

【出典】
Size of uterine leiomyoma is a predictor for massive haemorrhage during caesarean delivery
European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology April 2018Volume 223, Pages 60?63

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