外傷患者でのトラネキサム酸の病院前投与の有効性:無作為化比較試験のメタ分析

トラネキサム酸3.png・抗線維素溶解剤であるトラネキサム酸(TXA)は、高度な出血を伴う入院患者にとって潜在的な臨床的有益性を有するが、入院前の状況における有効性は不明である。著者らは、系統的レビューとメタ分析を実施して、TXA の病院前投与がプラセボと比較して患者の予後を改善するかどうかを評価した。

・PubMed、MEDLINE、Cochrane Library、WHO 国際臨床試験レジストリプラットフォーム、Cochrane Central Controlled Trials(CENTRAL)、Scopus、clinicaltrials.gov、Google Scholar データベースから、後ろ向き、前向き、無作為化(RCT)、準 RCT 研究を検索して、病院前 TXA vs プラセボ投与が、相当な出血のある外傷患者の転帰に及ぼす効果を評価した。関心の主要評価項目は、24 時間と、30 日死亡率、入院中の血栓塞栓性合併症であった。2 人の著者が、データ収集フォームを使用してデータを別々に抽出した。いろいろな研究から得た結果を、適切な場合には、分析のためにプールした。

・検索によって同定された 92 件の参考文献のうち、2 件の分析研究が包含基準を満たした。24 時間死亡率に及ぼす TXA の効果は、プールしたオッズ比(OR)は 0.49(95%CI 0.28-0.85)、30 日死亡の OR は、0.86(95%CI、0.56-1.32)、血栓塞栓事象の OR は、0.74(95%CI、0.27-2.07)であった。

・病院前 TXA 投与は、外傷患者の早期死亡率を低下させるようである。プールされた分析はまた、30 日死亡率が低下し、血栓塞栓事象のリスクが低下する傾向を示している。これらの傾向の意義を判断するためには、追加の無作為化比較試験が必要である。

[!]:トラネキサム酸については、大量投与時のけいれん発作以外は、ネガティブな報告はほとんど聞いたことがない。日本発の偉大な薬だ!! もっと世界的に活用されてしかるべきなんだろうな~。

【出典】
Efficacy of prehospital administration of tranexamic acid in trauma patients: A meta-analysis of the randomized controlled trials
The American Journal of Emergency Medicine Published online: March 16, 2018

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック