腹部手術を受けた術後の尿閉を回避するための硬膜外カテーテルと尿道カテーテル抜去の最適タイミング

・術後尿貯留(POUR)は、硬膜外麻酔の最も頻繁な合併症の 1 つである。本研究は、POUR の危険因子を明らかにし、尿道カテーテル抜去の適切なタイミングを推定することを目的としている。

・2014 年 9 月から 12 月までに、硬膜外麻酔と大きな腹部手術を受けた 120 人の患者を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。POUR 発生率の傾向を観察するために、Cochran-Armitage 傾向試験を用いて硬膜外カテーテルと尿道カテーテルの抜去の順序と間隔を分析した。

・本研究では、40 人の患者が POUR(33.3%)と診断された。硬膜外カテーテル抜去の中央値は、POUR 群では術後 4 日であり、非 POUR 群では術後 3.5 日であった(p=0.04)。硬膜外カテーテル抜去前に尿道カテーテルを抜去したところ、POUR の発生率は比較的高かった(p<0.001)。手術野、手術アプローチ、硬膜外カテーテル挿入レベル、硬膜外オピオイド使用に統計的な差はなかった。尿路感染症の患者はいなかった。

・著者らは、硬膜外カテーテル抜去前の尿道カテーテル抜去が POUR の発生率の増加傾向に寄与していることを示した。腹部術後に POUR を回避するためには、硬膜外カテーテルと尿道カテーテルの最適な順序と間隔を考慮する必要がある。

[!]:硬膜外使用中は、尿貯留気味になるので、硬膜外カテーテルを抜去してその効果が低減したところで、尿道カテーテルを抜去した方がよいようだ。

【出典】
Optimal timing of removal of epidural and urethral catheters to avoid postoperative urinary retention undergoing abdominal surgery
Dig Surg. 2018 Jun 26:1-5. doi: 10.1159/000490199. [Epub ahead of print]

この記事へのコメント

あやまま
2019年07月09日 14:13
はじめまして、数日後に胆嚢摘出手術を受ける者です。

尿カテーテル・硬膜外麻酔による尿閉の不安があり、メッセージ送らせて頂きます。

昨年出産したのですが、産後1週間以上の尿閉になりました。
会陰切開の際の麻酔が一因のようで、産後1年経つのですがいまだに尿の量も少なく、出にくい状態が続いています。


今回の手術で全身麻酔・硬膜外麻酔を使うとのことで、非常に恐怖です。

手術計画表によると、手術翌日に尿カテを外してから、手術4日後に硬膜外の管を抜くらしいです。
この順番だと、ますます尿閉になりやすいのでしょうか…?

もう尿閉になるのが目に見えており、不安しかないです。

数日後に手術を控えており、どうしたらいいのか分からずにいます。
SRHAD-KNIGHT
2019年07月10日 07:20
あやままさん、コメントありがとうございます。

以前、「尿閉になって困った」ということを主治医の医師に話し、硬膜外抜去後まで、しばらく導尿カテーテルを留置したままにしてほしい、旨を話されてはどうでしょか?

また、この論文の抄録を見てもらうのも良いかなと思いますが。

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