関節鏡下肩関節手術のための斜角筋間と小用量の鎖骨上ブロックの無作為比較
・本無作為化試験は、関節鏡下肩手術のための超音波(US)ガイド下斜角筋間ブロック(ISB)と小用量の鎖骨上ブロック(SCB)を比較した。著者らは、片側横隔膜麻痺(HDP)のリスクなしに、SCB が手術 30 分後に、ISBに同等の鎮痛を提供すると仮定した。
・全ての患者は、US ガイド下中頚神経叢ブロックを受けた。ISB 群では、US ガイド下 ISB は、0.5% レボブピバカインとエピネフリン 5μg/mL の 20mL で実施された。SCB 群では、同じ局所麻酔薬 20mL を用いて US ガイド下 SCB を実施した:3mL と 17mL をそれぞ、「コーナーポケット」(第 1 肋骨と鎖骨下動脈の交点)と腕神経叢の後側方に注入した。割り当てを知らされない研究者は、鎖骨上神経の知覚機能、腋窩神経の感覚運動機能、肩甲上神経の運動機能を包含する複合スケールを用いて、5 分ごとに 30 分まで、ISB と SCB を評価した。著者らは、30 分時点で、複合スコア≧6 点(8 点満点のうち)が達成された場合、ブロックは完全であるとみなした。したがって、発現時間は、最小複合スコアが 6 点に達するのに必要な時間と定義した。割り当てを知らない研究者はまた、US で 30 分時点で HDP の有無を評価した。その後、全患者に全身麻酔を施行した。術後、割り当てを知らない研究者は、0.5、1、2、3、6、12、24 時間で安静時疼痛スコアを記録した。24 時間での患者満足度、術中と術後の麻薬消費量、オピオイド関連副作用もまた集計された。
・両群とも、0.5、1、2、3、6、12、24 時間で同等の術後疼痛スコアを示した。斜角筋間ブロックは、HDP の発生率が高く(95% vs 9%、P<0.001)、発現時間がより短く、30 分時点で最小複合スコア 6 点の患者の割合が高かった(100% vs 77%、P=0.048)。しかし、実施時間、処置時の疼痛、針の刺入回数、術中/術後オピオイド消費量、副作用、24 時間での患者満足度については群間差は見られなかった。
・ISB と比較して、小用量の SCB は、結果として術後鎮痛については同等であるが、HDP の発生率を低下させる。後者は小用量 SCB では完全に回避することはできないので、肩手術に際してのに最適な横隔膜保護神経ブロックを調査するためにさらなる試験が必要である。
[!]:小用量鎖骨上神経ブロックでは、斜角筋間ブロックに比べて、横隔膜麻痺の頻度が 1/10 程度になる(95% vs 9%)のなら、いいんじゃないの~。神経束が収束しているので、エコーガイド下だと手技も簡単だし。
【出典】
A Randomized Comparison Between Interscalene and Small-Volume Supraclavicular Blocks for Arthroscopic Shoulder Surgery
Regional Anesthesia and Pain Medicine: August 2018 - Volume 43 - Issue 6 - p 590-595
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・全ての患者は、US ガイド下中頚神経叢ブロックを受けた。ISB 群では、US ガイド下 ISB は、0.5% レボブピバカインとエピネフリン 5μg/mL の 20mL で実施された。SCB 群では、同じ局所麻酔薬 20mL を用いて US ガイド下 SCB を実施した:3mL と 17mL をそれぞ、「コーナーポケット」(第 1 肋骨と鎖骨下動脈の交点)と腕神経叢の後側方に注入した。割り当てを知らされない研究者は、鎖骨上神経の知覚機能、腋窩神経の感覚運動機能、肩甲上神経の運動機能を包含する複合スケールを用いて、5 分ごとに 30 分まで、ISB と SCB を評価した。著者らは、30 分時点で、複合スコア≧6 点(8 点満点のうち)が達成された場合、ブロックは完全であるとみなした。したがって、発現時間は、最小複合スコアが 6 点に達するのに必要な時間と定義した。割り当てを知らない研究者はまた、US で 30 分時点で HDP の有無を評価した。その後、全患者に全身麻酔を施行した。術後、割り当てを知らない研究者は、0.5、1、2、3、6、12、24 時間で安静時疼痛スコアを記録した。24 時間での患者満足度、術中と術後の麻薬消費量、オピオイド関連副作用もまた集計された。
・両群とも、0.5、1、2、3、6、12、24 時間で同等の術後疼痛スコアを示した。斜角筋間ブロックは、HDP の発生率が高く(95% vs 9%、P<0.001)、発現時間がより短く、30 分時点で最小複合スコア 6 点の患者の割合が高かった(100% vs 77%、P=0.048)。しかし、実施時間、処置時の疼痛、針の刺入回数、術中/術後オピオイド消費量、副作用、24 時間での患者満足度については群間差は見られなかった。
・ISB と比較して、小用量の SCB は、結果として術後鎮痛については同等であるが、HDP の発生率を低下させる。後者は小用量 SCB では完全に回避することはできないので、肩手術に際してのに最適な横隔膜保護神経ブロックを調査するためにさらなる試験が必要である。
[!]:小用量鎖骨上神経ブロックでは、斜角筋間ブロックに比べて、横隔膜麻痺の頻度が 1/10 程度になる(95% vs 9%)のなら、いいんじゃないの~。神経束が収束しているので、エコーガイド下だと手技も簡単だし。
【出典】
A Randomized Comparison Between Interscalene and Small-Volume Supraclavicular Blocks for Arthroscopic Shoulder Surgery
Regional Anesthesia and Pain Medicine: August 2018 - Volume 43 - Issue 6 - p 590-595
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