Q:無呼吸酸素化の原理とは?
気道の開存を維持しつつ、口腔内や鼻腔内に、はたまた気管内などに高流量の酸素を吹送し続けることによって、人工換気や自発呼吸がなくても肺胞の酸素化、そして、血液の酸素化を維持することができる。これは、単なるガスの分子の拡散による物理的なメカニズムではなく、生理学的に発生する肺胞内外に生じる酸素分圧の差(圧勾配)によって発生すると考えられています。
《無呼吸酸素化の原理》
体重約 70kg のヒト成人の体内での O2 消費量は約 250 mL/分で、無呼吸中にも同じ速度で、肺胞から血流中に拡散していきます。他方、無呼吸中には、二酸化炭素は血中と肺胞との間に分圧の勾配がなくなるために、肺胞への流入は非常に少なくなり、約 10 mL/分の速度で肺胞空間に拡散します。ということで、肺胞内と咽頭との間には、差し引き 240 mL/分の陰圧の圧勾配が生成されます。

【通常呼吸と無呼吸時のガス交換】
(a)通常呼吸の場合、O2 は肺胞から毛細血管へ、そして組織へ 250 mL/分の速度で移動する。およそ同量の CO2 が組織から出て、毛細血管と肺胞に移動します。吸気中に肺胞に入るガスの量と呼気中に肺胞から出るガスの量はほぼ等しい(気管支内の二重矢印)。
(b)無呼吸の場合、O2 は肺胞から毛細血管へ、そして組織へと 250mL/分の速度で移動する。一方、組織で発生した CO2 は組織から出るが、大部分の CO2 は血流中に緩衝され続け、残りのわずか 8~20mL/分だけが肺胞内に移動する。肺胞内から出て行く酸素量と流入する二酸化炭素量の差が肺胞内に小さな陰圧を生じさせ、それによって咽頭から肺胞内へのガスの移動を引き起こす(気管支内の肺胞に向かう矢印)。
Wong DT, et al. The effectiveness of apneic oxygenation during tracheal intubation in various clinical settings: a narrative review. Can J Anaesth. 2017 Apr;64(4):416-427. より改変
したがって、咽頭腔に酸素を供給する酸素源があって、なおかつ肺胞との間に開存性が存在する場合、人工呼吸や自発呼吸がなくても、この圧勾配によって、咽頭に存在する気体が肺胞へと流れて移動してゆくことになります。
これが Apneic Mass Movement と呼ばれる、無呼吸酸素化のメカニズムと考えられています。
<参考文献>
Wong DT, et al. The effectiveness of apneic oxygenation during tracheal intubation in various clinical settings: a narrative review. Can J Anaesth. 2017 Apr;64(4):416-427. doi: 10.1007/s12630-016-0802-z. Epub 2017 Jan 3.
《無呼吸酸素化の原理》
体重約 70kg のヒト成人の体内での O2 消費量は約 250 mL/分で、無呼吸中にも同じ速度で、肺胞から血流中に拡散していきます。他方、無呼吸中には、二酸化炭素は血中と肺胞との間に分圧の勾配がなくなるために、肺胞への流入は非常に少なくなり、約 10 mL/分の速度で肺胞空間に拡散します。ということで、肺胞内と咽頭との間には、差し引き 240 mL/分の陰圧の圧勾配が生成されます。

【通常呼吸と無呼吸時のガス交換】
(a)通常呼吸の場合、O2 は肺胞から毛細血管へ、そして組織へ 250 mL/分の速度で移動する。およそ同量の CO2 が組織から出て、毛細血管と肺胞に移動します。吸気中に肺胞に入るガスの量と呼気中に肺胞から出るガスの量はほぼ等しい(気管支内の二重矢印)。
(b)無呼吸の場合、O2 は肺胞から毛細血管へ、そして組織へと 250mL/分の速度で移動する。一方、組織で発生した CO2 は組織から出るが、大部分の CO2 は血流中に緩衝され続け、残りのわずか 8~20mL/分だけが肺胞内に移動する。肺胞内から出て行く酸素量と流入する二酸化炭素量の差が肺胞内に小さな陰圧を生じさせ、それによって咽頭から肺胞内へのガスの移動を引き起こす(気管支内の肺胞に向かう矢印)。
Wong DT, et al. The effectiveness of apneic oxygenation during tracheal intubation in various clinical settings: a narrative review. Can J Anaesth. 2017 Apr;64(4):416-427. より改変
したがって、咽頭腔に酸素を供給する酸素源があって、なおかつ肺胞との間に開存性が存在する場合、人工呼吸や自発呼吸がなくても、この圧勾配によって、咽頭に存在する気体が肺胞へと流れて移動してゆくことになります。
これが Apneic Mass Movement と呼ばれる、無呼吸酸素化のメカニズムと考えられています。
<参考文献>
Wong DT, et al. The effectiveness of apneic oxygenation during tracheal intubation in various clinical settings: a narrative review. Can J Anaesth. 2017 Apr;64(4):416-427. doi: 10.1007/s12630-016-0802-z. Epub 2017 Jan 3.

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