肩手術後の術後疼痛予防のための斜角筋間 vs 鎖骨上神経叢ブロック:系統的レビューとメタ分析
・斜角筋間腕神経叢ブロックは、肩手術後疼痛を軽減するための最も一般的な区域麻酔法であるが、同片側横隔膜麻痺、ホルネル症候群、嗄声などの合併症が発生する。鎖骨上アプローチの方が有害作用が少なく、効果的な代替法である可能性がある。本研究の目的は、斜角筋間と鎖骨上腕神経叢ブロックとの間で術後疼痛スコアとモルヒネ等価物に差があるかどうかを調査することであった。副次評価項目は重篤な有害事象であった。
・無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析。Embase、CENTRAL、MEDLINE、Web of Science の包括的な文献検索が、最古の記録から 2018 年 12 月まで行われた。肩手術を受ける患者で、斜角筋間と鎖骨上腕神経叢ブロックを比較する前向き無作為化対照試験が包含基準であった。研究方法を透明性高くかつ包括的に報告した研究のみが含まれた。学会抄録や会議抄録は先験的に除外されなかった。バイアスリスクはコクラン法を用いて評価した。
・12 件の研究がメタ分析に適格であった。鎖骨上アプローチは全体的に同等の 24 時間疼痛スコア(平均差 -0.34、95%CI -0.75~0.07、P=0.11)と同等のモルヒネ等価物消費量(24 時間当たりの平均差 1.84mg; 95%CI -0.00~3.69、P=0.05)を示した。副次評価項目解析では、鎖骨上アプローチでは、片側横隔膜麻痺(リスク比 0.56、95%CI 0.39~0.82、P=0.003)とホルネル症候群(リスク比 0.29、95%CI 0.19~0.44、P<0.00001)の発生率が有意に低いことが明らかになった。嗄声には有意差はなかった(リスク比 0.73; 95%CI 0.48~1.13、P=0.16)。
・術後 24 時間後の疼痛スコアとモルヒネ等価物消費量は同程度であった。鎖骨上アプローチの方が有害作用が少なかった。鎖骨上アプローチは肩関節手術のための斜角膜間アプローチに代わる効率的な方法かもしれない。しかしながら、入手可能なエビデンスは不十分であり、確固たる結論は下せない。
[!]:肩関節手術後の疼痛軽減には、斜角筋間ブロックよりも鎖骨上ブロックの方が副作用が少なく、効果は同等だ。
【出典】
Interscalene versus supraclavicular plexus block for the prevention of postoperative pain after shoulder surgery: A systematic review and meta-analysis.
Eur J Anaesthesiol. 2019 Jun;36(6):427-435. doi: 10.1097/EJA.0000000000000988.
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[!]:肩関節手術後の疼痛軽減には、斜角筋間ブロックよりも鎖骨上ブロックの方が副作用が少なく、効果は同等だ。
【出典】
Interscalene versus supraclavicular plexus block for the prevention of postoperative pain after shoulder surgery: A systematic review and meta-analysis.
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