中心静脈カテーテル先端位置決めの質を改善するためのチェックリスト

中心静脈カテーテル挿入は、周術期において麻酔科医によって行われる日常的な処置である。上半身中心静脈カテーテルは通常、それらの先端が上大静脈内または大静脈心房接合部に位置するように留置される。先端を右心房内に「低すぎる」位置に留置すると穿孔の危険性を高め、心臓タンポナーデをもたらすことから、長い間議論されてきた。腕頭静脈内やそれより上で、先端を「高すぎる」位置に留置することもまた、近位への移動が近位腔の血管外留置をもたらし得るという点で問題となり得る。そのような事件が、2016 年に当院で発生し、その結果、壊死を引き起こす発泡性薬剤の溢出が発生した。このような事件の再発リスクを減らすことを目的として、著者らは、標準的診療セットと周術期中心静脈カテーテル挿入チェックリストを含む品質改善プロジェクトを実施した。2016 年に介入前監査（n=84）、2017 年に介入後監査（n=84）を実施した。介入前監査と比較して、介入後監査の方が、中心静脈カテーテル先端の位置異常（5.6% vs 9.2%）の頻度が低く、遠位上大静脈または大静脈心房接合部における「最適な」中心静脈カテーテル先端位置（45.1% vs 29.2%）の割合が高かった。中心静脈カテーテル挿入チェックリストはまた、無菌対策の記録、挿入長、胸部レントゲン写真上の先端位置の挿入後記録の文書化を有意に改善した。

［！］：中心静脈カテーテルを挿入する際には、チェックリストを印刷して、それらチェック事項を確認しながら挿入し、深さや、Xp 上での確認の有無などを記録して、スキャンして電子カルテに保存するようにするとよいかな。それとも、電子カルテ上にチェックリストを CV 挿入用テンプレートとして登録して入力するようにすればよいかな、仕事が増えるけど。せめて、電子麻酔記録に CV 挿入テンプレートくらいはあってもよいのかな。

【出典】
A checklist to improve the quality of central venous catheter tip positioning.
Anaesthesia. 2019 May 6. doi: 10.1111/anae.14679. [Epub ahead of print]

＜参考記事＞
今回の論文で使用しているチェックリストではないが、ネット上で検索していくつか見つかったが、CV ライン関連血流感染を予防するためのチェックリストかな・・・。
Practice Guidelines for Central Venous Access: A Report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Central Venous Access
Anesthesiology 3 2012, Vol.116, 539-573. doi:10.1097/ALN.0b013e31823c9569
「中心静脈アクセスのための診療ガイドライン：中心静脈アクセスに関する米国麻酔学会タスクフォースによる報告（2012）」に記載されているチェックリストの例：Appendix 3. Example of a Central Venous Catheterization Checklist

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