冠状動脈バイパス術後の早期抜管と術後せん妄の関連

・心臓手術後の早期抜管が入院期間と合併症発生率に有益であると報告されているが、術後せん妄への影響は不明のままである。冠動脈バイパス術後せん妄に及ぼす早期抜管の影響を検討した。

・2010 年 1 月 1 日から 2015 年 12 月 31 日までの連続した単独冠状動脈バイパス移植術患者の単一施設での後ろ向きレビューを実施した。ベースライン人口統計学的特徴、術前合併症、術中データ、術後データを収集した。術後 24 時間以内の抜管に限定した分析で多変量ロジスティック回帰を行った。

・2561 人の適格患者を特定した。せん妄は 13.9%(n=357)に発生した。術後人工呼吸の期間は、調整後、特に 12~24 時間後に、せん妄発生率の上昇と関連していた(1 時間ごとのオッズ比、1.12; 95%信頼区間、1.05-1.19;P<0.001)。0 ~ 12 時間の期間では関連性は観察されなかった(1 時間ごとのオッズ比、1.02;95% 信頼区間、0.99~1.06;P=0.218)。主要有害事象は、0~12 時間後の人工呼吸の持続時間と関連していた(1 時間ごとのオッズ比、1.08; 95%信頼区間、1.03~1.14、P<0.002)が、12~24 時間後では関連していなかった(1 時間ごとのオッズ比、1.04; 95%CI、0.96~1.14;P=0.316)。全体の再挿管率は 2.9%(n=73)であった。

・著者らの調査結果は、せん妄発生率は、術後人工呼吸時間が長くなるとともに増加することを示唆している。本研究は心臓外科手術を受ける患者で、せん妄を最小限に抑えるために早期抜管の適切な選択を検討するための基礎を提供する。

[!]:CABG 術後は、漫然と人工呼吸をしていると、術後せん妄の発生率が増加するようだ。

【出典】
Association of earlier extubation and postoperative delirium after coronary artery bypass grafting.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2019 Mar 29. pii: S0022-5223(19)30721-4. doi: 10.1016/j.jtcvs.2019.03.047. [Epub ahead of print]

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