大きな非心臓手術を受ける患者における術後の心血管イベントと認識されない閉塞性睡眠時無呼吸の関連

・認識されていない閉塞性睡眠時無呼吸は一般集団の心血管リスクを増加させるが、閉塞性睡眠時無呼吸が周術期に同様のリスクをもたらすかどうかは依然として不明である。研究の目的は、閉塞性睡眠時無呼吸と、大きな非心臓手術後の 30 日心血管合併症リスクとの関連性を明らかにすることであった。

・2012 年 1 月から 2017 年 7 月まで、2017 年 8 月まで追跡調査を伴う、 5 か国 8 病院で、睡眠時無呼吸の事前診断がなく、主要な非心臓手術を受ける成人のリスクのある患者を対象とした前向きコホート研である。夜間パルスオキシメトリおよび心筋トロポニン濃度の測定が含まれた。閉塞性睡眠時無呼吸症は、術前の携帯型睡眠モニタリングに基づいて、軽度(呼吸事象指数[REI]5~14.9 事象/時)、中程度(REI 15~30)、および重度(REI>30)に分類された。主要評価項目は、手術後 30 日以内の心筋傷害、心臓死、心不全、血栓塞栓症、心房細動、脳梗塞の複合であった。閉塞性睡眠時無呼吸と術後心血管合併症との間の関連性を調査するために比例ハザード分析を使用した。

・研究に募集された合計 1364 人の患者のうち、1218 人の患者(平均年齢 67[SD9]歳; 40.2% が女性)が分析に含まれた。術後 30 日の主要評価項目の割合は、重度 OSA 患者で 30.1%(41/136)、中等度 OSA 患者で 22.1%(52/235)、軽度 OSA 患者で 19.0%(86/452)であった。 OSA のない患者では 14.2%(56/395)であった。OSA は、主要評価項目の高いリスクと関連していた(調整ハザード比[HR]、1.49[95%CI、1.19-2.01];P= 0.01)。しかし、関連性は重度 OSA 患者(調整HR、2.23[95%CI、1.49-3.34]、P=0.001)間でのみ有意であり、中等度 OSA 患者(調整HR、1.47[95%CI、0.98-2.09、p=0.07])間や軽度 OSA 患者(調整HR、1.36 [95%CI、0.97-1.91];P=0.08)間では有意ではなかった(相互作用については p=0.01)。心血管合併症を有する患者の方が、術後 3 日間のオキシヘモグロビン酸素飽和度低下<80% の平均累積期間(23.1[95%CI、15.5-27.7]分)は、心血管合併症のない患者(10.2[95%CI、7.8-10.9]分)(P<0.001)])よりも長かった。周術期転帰に及ぼす相互作用の有意な影響は、麻酔の種類、術後オピオイド使用、酸素補充療法では観察されなかった。

・主要な非心臓手術を受けるリスクのある成人のうち、認識されていない重度の閉塞性睡眠時無呼吸は術後 30 日の心血管合併症のリスク増加と有意に関連していた。介入によってこのリスクを是正できる可能性があるかどうかを評価するためにさらなる研究が必要であろう。

[!]:未診断の閉塞性睡眠無呼吸の重症度が高いほど、術後の心血管合併症のリスクが高くなるようだ。

【出典】
Association of Unrecognized Obstructive Sleep Apnea With Postoperative Cardiovascular Events in Patients Undergoing Major Noncardiac Surgery.
JAMA. 2019 May 14;321(18):1788-1798. doi: 10.1001/jama.2019.4783.

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