挿管された外傷患者において、高濃度酸素吸入が死亡率を高める可能性がある-後ろ向きコホート研究

酸素.png・外傷患者の人工呼吸はよくあることであり、その多くは低酸素血症を避けるために通常よりも高い吸気酸素濃度(FiO2)を必要とする。本研究の主な目的は、挿管された外傷患者の FiO2 と 1 年全死因死亡率との関連を評価することである。

・2015 年から 2017 年までに外傷後の初期段階で挿管された成人外傷患者を後ろ向きに同定した。入院後 24 時間の FiO2 と死亡率に関する情報を登録した。各患者について、最初の 24 時間のうち、FiO2≧80%、≧60%、≧40% にさらされた時間数をそれぞれ求め、暴露時間で分類した。これらの FiO2 曝露と死亡率との関連を、年齢、性別、BMI、ISS(Injury Severity Score)、GCS(Glasgow Coma Scale)スコア、胸部損傷の有無を調整した Cox 回帰を用いて評価した。

・挿管された外傷患者 218 名を対象とした。病院前の GCS スコアの中央値は 6、ISS の中央値は 25 であった。1 年後の死亡率は、 FiO2≧80% の時間が 3〜4 時間であった場合、2 時間未満であった場合に比べて有意に高かった(ハザード比(95%CI)2.7(1.3〜6.0)、p=0.011)。FiO2≧80% を 4 時間以上投与した場合、同様に死亡率が高くなる傾向が見られたが、統計的には有意ではなかった。FiO2≧60% の患者の死亡率は、時間に依存して有意に増加した。死亡率と FiO2≧40% の期間との間には有意な関係は認められなかった。

挿管された外傷患者において、入院後 24 時間以内に 2 時間以上にわたって 60% 以上の吸気酸素量を維持することは、時間依存的に死亡率の増加と関連していた。しかし、本後ろ向き研究の限界を考慮すると、この知見はより大規模な無作為化した条件下で確認する必要がある。

高濃度酸素を投与せざるを得なかった状態自体が、重症であった可能性もある。いずれにしろ、不必要に高濃度酸素を投与するのは回避しなくてはいけない。酸素も毒だ、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。

【出典】
A high fraction of inspired oxygen may increase mortality in intubated trauma patients - A retrospective cohort study
Injury. 2021 Sep 17;S0020-1383(21)00789-0. doi: 10.1016/j.injury.2021.09.015. Online ahead of print.

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