重症疾患患者におけるフェンタニル誘発性硬直性胸部症候群の検討

人工呼吸2.png・オピオイドによる胸壁硬直は、1950 年代初頭に外科麻酔中に初めて報告され、しばしばフェンタニル誘発性胸部硬直症候群(FIRCS)と呼ばれてきた。この症候群は、腹部および胸部の顕著な硬直、非同期換気、呼吸不全を特徴とし、処置に伴う鎮静や気管支鏡検査で最もよく報告されている。FIRCS は、重症成人患者における持続的な鎮痛を行う場合において、あまり報告されていない。著者らは、FIRCS がこのような状況下で発生する可能性があり、その認識が不十分であるため、罹患率と死亡率の上昇につながっていると推測している。

・FIRCS が疑われる集中治療室入室患者を本後ろ向きな解析の対象とした。この解析の目的は、FIRCS の臨床像と治療戦略を明らかにすることである。

・FIRCS の症状を示す 42 名の患者をこの解析の対象とした。記述的な文書がある 42 名の患者のうち 22 名は、検査で胸部または腹部の硬直を認めた(52.4%)。介入後に人工呼吸器への同調が記録されたのは、ナロキソンのみで治療した 16 人中では 12 人(75%)であったのに対して、シスアトラくりリウムのみで管理した 11 人中では 6 人(55%)であった。シスアトラクリムによる初期治療後に最終的にナロキソンを投与された患者 12 人のうち 9 人は、ナロキソン投与後に人工呼吸器への同調が記録されていた(75%)。鎮静剤の最適化や人工呼吸器の調整などの標準的な介入を行い、同期不全の他の潜在的な原因を除外し治療することが試みられた。ほとんどの症例で、ナロキソンの投与により、人工呼吸器と患者主導の呼吸の両方が適切に行われ、人工呼吸器の不調和がフェンタニルによるものであることが示唆された。

・本例は、集中治療室における FIRCS の症例としては、これまでで最大規模のものである。患者の転帰を改善するためには、病態認識と迅速な管理が必要である。意識と認識を高め、患者の危険因子を特定し、介入の有効性と安全性を分析するための研究が必要である。

ICU でもフェンタニルは頻用されるから、フェンタニル誘発性の胸壁筋硬直によって人工呼吸器との同調が得られなくなることはありうる話だな。でも、麻酔科医以外は気づかないかもね。

【出典】
Fentanyl-Induced Rigid Chest Syndrome in Critically Ill Patients
J Intensive Care Med. 2022 Jul 19;8850666221115635. doi: 10.1177/08850666221115635. Online ahead of print.

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