気管挿管困難時の代替手段としての頭部左回転:無作為化非盲式臨床試験

頭部を左回転.png・気管挿管は、医師だけでなく、医療従事者にとっても救命のための処置である。患者の頭頸部の体位を最適化し、声門が最もよく見えるようにすることは、気管挿管を促進させる重要なステップである。最近、気管挿管の革新的な方法として、頭部を左回転させる方法が報告され、声門の可視化が著しく改善され、外科的気道確保に進む前の選択肢となり得る。本研究では、喉頭直視下において、スニッフィング体位と頭部左回転させる体位とで、喉頭視野と挿管状態を比較した。

・本無作為化非盲式臨床試験は、2020 年 9 月から 2021 年 1 月にかけてバギオ総合病院&医療センターに入院し、全身麻酔下で気管挿管を必要とする待機的外科手術を受けた成人患者 52 人を登録した。挿管は、実験群(n=26)では左 45 度の頭部回転を用い、対照群(n=26)では従来のスニッフィング体位を用いて行われた。左頭部回転とスニッフィング体位による声門の可視化と挿管困難度は、それぞれ Cormack-Lehane 分類と挿管困難スケール( Intubation Difficulty Scale)を用いて評価した。気管挿管の成功は、気管チューブの留置後、呼気終末 CO2 モニターでカプノグラフィーの波形を観察することにより判断された。

・頭部を左回転させた群とスニッフィング体位群との間で、臨床人口統計学的特徴に有意な差はなかった。Cormack-Lehane 分類についても統計的に有意な差はなく、両群とも 85% の患者が Grade 1 および 2 に分類された。また、頭部左回転位とスニッフィング体位で挿管された患者の挿管困難スケールスコアにも統計的な有意差はなく、両群とも 30.7% が容易に挿管されたのに対し、左頭回旋位では53.8%、スニッフィング体位では 57.6% がやや困難で挿管された。同様に、挿管困難度スケールの 7 つのパラメータにおいても、両手法間に有意差はなかったが、頭部左回転位で挿管した場合、追加の挙上力[7(26.9%) vs 11(42.3%)]や喉頭圧迫[3(11.5%) vs 7(26.9%)] を必要とした患者は数値上少なかった。頭部左回転位の挿管成功率は 92.3% であったのに対し、スニッフィング体位では 100% であったが、この差は統計的に有意ではなかった。

頭部左回転位は、従来のスニッフィング位と同等の喉頭露出と挿管容易性をもたらすものである。したがって、頭部左回転は、特に本研究のようにビデオ喉頭鏡や気管支ファイバーなどの高度な技術が利用できない病院において、スニッフィング体位で挿管できない患者の代替手段となり得る。しかし、本研究のサンプルサイズは小さいので、本研究の結果の一般化可能性を確立するためには、より多くの研究集団による研究が必要である。また、麻酔科医が頭部左回転法について十分な知識を持っていないことが確認され、技術的な習熟が進めば挿管成功率は向上する可能性がある。

頭部を左に回転させることで、舌を重力によって左に移動させることができ、BURP と同じような効果が得られるのではないだろうか。

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