成人における麻酔後覚醒せん妄の危険因子:系統的レビューとメタ分析

覚醒せん妄5.png・覚醒せん妄(Emergence delirium:ED)とは、全身麻酔または鎮静からの覚醒中または覚醒直後に起こるせん妄のことである。ED に対する有効な薬理学的治療法は確立されていないため、ED のリスクを最小化するための予防措置を講じる必要がある。しかし、成人における ED の危険因子は不明である。この系統的レビューとメタ分析では、成人における ED の危険因子に関するエビデンスを評価した。

・PubMed、Scopus、Cochrane Library、Google Scholar、およびEmbase の各データベースで、創始時から 2023 年 7 月 31 日までに成人における ED の危険因子を報告した観察研究を検索した。

19,171 人の参加者を報告した 20 件の観察研究がこのメタ分析に含まれた。ED の危険因子として同定された術前因子のうち、年齢 40 歳未満または 65 歳以上、男性、喫煙歴、薬物乱用、認知障害、不安、ASA-PS スコア III または IV であった。ED の術中危険因子は、ベンゾジアゼピン系薬剤、吸入麻酔薬、エトミデートの使用、手術因子は腹部手術、脳腫瘍に対する前頭開頭術(他の開頭術との比較)、手術時間などであった。術後の危険因子は、尿道カテーテルの留置、麻酔回復室または集中治療室での気管チューブの留置、経鼻胃管の留置、疼痛であった。

・これらの危険因子の知識は、ED のリスクが高い患者に対する層別管理や時宜を得た介入の実施に役立つであろう。このレビューに含まれた研究の大部分は、高活動型 ED のみを調査したものであり、低活動型 ED や混合型 ED のリスク因子を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。

覚醒せん妄を抑制するには、疼痛や不快の原因となるものを、可及的に除去することが必要だな。


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