■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2023/11/16

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■ これって常識? ■
バンコマイシン抵抗性のMRSA菌血症をみたら,敗血症性血栓性静脈炎,感染性心内膜炎,転移性膿瘍を疑え!

1)MRSA菌血症でバンコマイシンの静注を開始しても速やかには反応しない場合,上記を疑って心エコー,頸部血管エコー,腹部 CTなどの検査を行う.
2)治療は,膿瘍が存在する場合は,ドレナージ(穿刺または外科的ドレナージ)を行う.敗血症性血栓性静脈炎では,ヘパリンなどの抗凝固療法を併用する.重症感染にはVCMに,組織移行性がよくMRSAに抗菌力のあるリファンピシンやST合剤を併用する.抗菌薬の投与期間は4〜6週間必要である.


[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識〜感染症編





【問題1】(中枢神経) 脳出血のうち失語、失認、同名半盲、失行などの皮質症状を認めるのはどれか?
1) 視床出血
4) 皮質下出血
2) 小脳出血
5) 橋出血
3) 被殻出血


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[解説] 皮質下出血は頭痛で発症することが多く、血腫部位に一致した皮質症状(失語、失認、失行、同名半盲)がみられることが多く、片麻痺、知覚障害、意識障害などは軽度。痙攣発作で発症することもある。


[正解] 4 [出典] クリティカル記憶術2P37




【問題2】(麻酔薬) 次の吸入麻酔薬のうち生体内代謝率がもっとも高いのはどれか?
1) 笑気
3) エンフルレン
5) イソフルレン
2) ハロセン
4) メトキシフルレン


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[解説] 吸入麻酔薬の生体内代謝率:メトキシフルレン=30〜50%、ハロセン=15%、エンフルレン=2〜5%、セボフルレン=2〜3%、イソフルレン=0.2%、デスフルレン=0.02%、笑気=0%。


[正解] 4 [出典]



【問題3】(局所麻酔) 硬膜外について正しいのはどれか。

ア:先制鎮痛(preemptive analgesia)は、動物実験では証明されている。

イ:あらかじめ感覚神経をブロックしておくと術後に痛覚過敏が起こらない。

ウ:硬膜外にフェンタニルを使用するとしばしば呼吸抑制が見られる。

エ:モルヒネの硬膜外投与では、痒みを訴えることが多い。

オ:硬膜外血腫はカテーテル抜去時に発生する。


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[解説] 先制鎮痛(preemptive analgesia)は、動物実験では証明されている。臨床的にも四肢手術や下腹部手術では有効との報告がすでにある。あらかじめ感覚神経をブロックしておくと術後に痛覚過敏が起こらない。硬膜外にフェンタニルを使用しても呼吸抑制はほとんど起こらない。しばしば見られるのはモルヒネを投与した場合である。モルヒネは水溶性なので髄液に移行して髄液と共に上行して遅発性の呼吸抑制をきたすと考えられている。モルヒネの硬膜外投与では、痒みを訴えることが多い。硬膜外血腫はカテーテル挿入時よりは抜去時に発生する。硬膜外カテーテル留置中にヘパリン投与を行った場合、通常のヘパリンなら2〜4時間、低分子ヘパリンなら8〜12経過してから、ACT(あるいはAPTT)が正常化したことを確認してからカテーテルを抜去するべきである。


[正解] (ア)、(イ)、(エ)、(オ) [出典] 「こだわり」の局所麻酔p139〜

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